生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2007年度 採択された研究課題

バイオエネルギー生産のためのシロアリ共生系高度利用技術の基盤的研究

研究代表者氏名及び所属

守屋 繁春
守屋 繁春
(独立行政法人理化学研究所)

研究実施期間

平成19年度~23年度(5年間)

研究の趣旨・概要

現代社会で用いられるエネルギー源は化石資源に極端に依存している。このため、温暖化・環境汚染・資源の争奪といった様々な問題が顕在化している。これを回避するために、様々なバイオマスエネルギー利用が叫ばれているが、現在実用化の域に達しているバイオマス燃料は可食性バイオマスを原材料とするか、非可食性の木質バイオマスを化石エネルギーや環境に有害な化学処理を援用することが必要な技術によって生成されている。本研究では、このような問題を根本的に解決するために、シロアリをモデルとしたバイオマスエネルギー生産技術の可能性を拓く研究基盤を構築することを目的とする。シロアリは非可食性バイオマスの中でも圧倒的な物量を誇るセルロースを、生物学的な過程のみを用いてほぼ完全に分解利用している自然界でも珍しい生物である。
具体的には、シロアリ自身の持つ前処理システムと、腸内の共生微生物が担っていると考えられている木質バイオマス完全分解システムという生物学的システムを、解剖学的・免疫組織学的・分子生物学的手法、さらには最新の各種オミックス解析技術を用いて包括的に解明し、さらに高度なタンパク質発現法を援用することにより、その総合的な人工再構成を可能とする技術開発の基盤を構築する。
他に類を見ないシロアリの高効率木質バイオマス利用系に倣う独創的なシステムが確立されれば、木材やワラ・各種農産廃棄物などの非可食性バイオマスを、すでに使用されているコーンやサトウキビなどの可食性バイオマスと同等かそれ以上のバイオエタノール供給源とすることが可能となり、資源の制約を受ける我が国の食料並びにエネルギー両面の安定確保にも資する。

研究項目及び実施体制(()は研究担当者)

  • 木質資源利用に必要な遺伝子資源の包括的な開発
    (独立行政法人理化学研究所 守屋繁春/長崎大学 工藤俊章)
  • 酵素遺伝子の高度組換え発現と有用物質生産エージェントの確立
    (国立大学法人東京大学 有岡 学)
  • シロアリ消化系をモデルとした木質バイオマス総合利用システムの確立
    (独立行政法人農業資源研究所 渡辺 裕文/琉球大学 徳田 岳)

研究のイメージ

バイオエネルギー生産のためのシロアリ共生系高度利用技術の基盤的研究