生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2007年度 採択された研究課題

アブラナ科作物ゲノムリソースおよびプラントアクティベーターを利用した新規病害防除法の開発

研究代表者氏名及び所属

鳴坂 義弘
鳴坂 義弘
(岡山県生物科学総合研究所)

研究実施期間

平成19年度~21年度(3年間)

研究の趣旨・概要

病害は食糧の安定生産を阻害する最大の要因であり、世界の食糧生産の約15%、8-10億人分に相当する作物が病害により失われている。一方、病害の防除に使用されている殺菌剤を中心に据えた現行の戦略は、他方「環境」および「生態系」への影響が懸念されており、環境にやさしい新しい病害防除法の開発が求められている。このような状況の中、植物が持つ内在性の防御システムを活性化して病害を防除する化合物であるプラントアクティベーター(植物活力剤、病害抵抗性誘導物質)は、生態系自体への直接の影響は少なく環境に対する負荷を大幅に軽減することが期待できる。
本研究では、殺菌剤の使用量を低減するため、プラントアクティベーターを利用した新しい病害防除法の開発を目指し、アブラナ科のモデル実験植物であるシロイヌナズナで蓄積された情報を最大限活用できるアブラナ科作物のハクサイに的を絞り、ゲノムリソースおよびデーターベースなどの研究基盤を整備して、多数の化学物質の中からプラントアクティベーター候補の検索と評価を行う。さらに、プラントアクティベーターの開発と併せて、病害抵抗性品種の育種を効率化するための病害応答診断技術の開発を目指す。
本課題で整備するハクサイゲノムリソースとこれを用いた病害応答診断技術は実用的なプラントアクティベーターの開発に貢献するだけではなく、診断技術を育種に適用することにより病害抵抗性品種の選抜を飛躍的に加速する可能性が期待できる。

研究項目及び実施体制(()は研究担当者)

  • 新規プラントアクティベーターの検索および評価と病害応答診断アレイの開発
    (岡山県生物科学総合研究所 鳴坂 義弘)
    病害応答診断技術開発のためのハクサイゲノムリソースとデータベースの整備
    (独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター 安部 洋)
    ハクサイゲノムリソースを利用した土壌病害応答診断技術の開発
    (独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所 畠山 勝徳)

研究のイメージ

アブラナ科作物ゲノムリソースおよびプラントアクティベーターを利用した新規病害防除法の開発