修正 : 令和5年9月11日(月曜日)※
ポイント
- 人工受粉に必要な国産花粉の供給量を増やす有力な方法として、花粉を得るための花蕾を楽に採取するための樹形や機械が開発されました。
- 人工受粉に使用する花粉量を削減できる機械の開発、低温時でも花粉の発芽率が高い品種の選抜など、果樹農家の安定生産やコスト削減につながる成果が得られました。
概要
生研支援センターでは、農林水産業や食品産業の分野で新事業の創出や技術革新を目指す研究に資金を提供しており、得られた研究成果を広く知っていただくため、研究成果を分かりやすく紹介する取組を実施しています。
今回、紹介するのは、国産花粉の供給量を増やすために役立つ成果です。
ナシやキウイなどの果樹では人工受粉が欠かせませんが、ナシやキウイでは輸入花粉を使用する例も増えています。そこで鳥取大学を中心とする研究グループは、国産花粉の供給量を増やすための技術開発を行い2つの成果を得ました。
1つは、花粉を得るためのつぼみを楽な姿勢で採取できる「低樹高ジョイント仕立て」といわれる樹形の工夫です。これで、つぼみの採取時間は約4~6割も短縮されます。2つ目は「手持ち式花蕾採取機」です。これを使うと花蕾を採る作業時間は手摘みに比べ、スモモで約7割、ナシで約8割短縮されます。この研究成果を生かした製品「花蕾採取アシスタント」が2022年2月に発売されました。
これらの成果を受けて、埼玉県などでは、花蕾採取機を利用し、花粉採取専用ほ場で花粉を生産・販売する国産花粉ビジネス化の兆しも出てきています。
また、より少ない花粉でも確実に受粉できる「静電風圧式受粉機」も開発されました。これを利用すると、ナシでは約8割も花粉使用量を減らせるため、農家のコスト削減が期待できます。
※輸入花粉に関する誤記を修正
詳しい内容は以下のURL又は別紙をご覧ください。
https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/contents/fukyu/episode/episode_list/155959.html
これまでに紹介した研究成果は以下のURLをご覧ください(全43話掲載)。
https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/contents/fukyu/episode/index.html