プレスリリース
(お知らせ)1年育成フェザー苗を用いたリンゴの高密植栽培

情報公開日:2023年6月 7日 (水曜日)

ポイント

  • リンゴの高密植栽培に使うフェザー苗の育成期間を2年から1年に短縮、高密植に必要な苗木が確保しやすくなりました。
  • このフェザー苗を用いても従来の苗木と同等の収量が得られ、果実品質も差がなく、長野県ではリンゴ農家の大半が1年育成フェザー苗を利用するまでになりました。

概要

生研支援センターでは、農林水産業や食品産業の分野で新事業の創出や技術革新を目指す研究に資金を提供しており、得られた研究成果を広く知っていただくため、研究成果を分かりやすく紹介する取り組みを実施しています。

今回、紹介するのは、リンゴの高密植栽培に必要なフェザー苗の育成期間を2年から1年に短縮した成果です。

リンゴの栽培では、未収益期間を短縮し、目標収量に到達する成園化を短期間で実現するため、フェザー苗と呼ばれる定植後、早期に結実する苗木を高密植する方法が導入されています。フェザー苗は、植物成長調整剤を散布することで新梢の腋芽(葉の付け根の芽)からも新梢(フェザー)を発生させた苗です。フェザーは定植後に実をつける枝(側枝)となるため、フェザー苗は早期結実を期待できますが、育成には2年を要していました。そこで、長野県果樹試験場は、フェザー苗の大量安定供給を実現するため、従来の半分の期間で育成できる「1年育成フェザー苗」の実用化に取り組みました。

「1年育成フェザー苗」自体は海外で開発されたものですが、同試験場は約10年前から、1年育成フェザー苗と2年育成フェザー苗の生育や果実の品質などを比べる試験を重ね、1年育成フェザー苗を用いても、収量や果実品質は2年育成フェザー苗と同等であることを明らかにしました。

リンゴ栽培農家が1年育成フェザー苗を導入しやすい条件整備に努めてきた結果、いまでは長野県内で供給されるフェザー苗の大半が1年育成フェザー苗になるまでに普及しています。雪の少ない他産地にも適用が可能です。

詳しい内容は以下のURL又は別紙をご覧ください。
https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/contents/fukyu/episode/episode_list/157876.html

これまでに紹介した研究成果は以下のURLをご覧ください(全47話掲載)。
https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/contents/fukyu/episode/index.html