プレスリリース
(お知らせ)成果事例こぼれ話 第63話の公表 (スクミリンゴガイの被害軽減へ捕獲器と誘引剤を開発)

情報公開日:2025年3月25日 (火曜日)

ポイント

  • 水稲を食害する淡水生の巻貝スクミリンゴガイ(通称ジャンボタニシ)を、効率的に大量捕獲する箱型の捕獲器と誘引剤が開発されました。2022年4月の販売開始以降、24年12月までに約4,500台が販売されるなど、普及が進んでいます。
  • 田植え後の水をごく浅めに管理し、この捕獲器を適切に設置すれば、農薬を使わなくても稲の被害をほぼ抑えられるという研究結果が出ています。

概要

生研支援センターでは、農林水産業や食品産業の分野で新事業の創出や技術革新を目指す研究に資金を提供しており、得られた研究成果を広く知っていただくため、これまでの研究成果を分かりやすく紹介する「成果事例こぼれ話」を作成・公表しています。

今回、紹介するのは、農研機構植物防疫研究部門を代表機関とする研究グループが、水稲を食害する淡水生の巻貝スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)を効率的に大量捕獲する捕獲器と誘引剤を開発し、普及を進めている研究成果です。

スクミリンゴガイは、2000年代に農薬をはじめとする防除技術により被害はいったん沈静化しましたが、近年の温暖化に加えて、農業の担い手の高齢化等により細やかな水田管理が困難になってきたことで、これまで被害が集中していた九州や中国・四国地方だけでなく、滋賀県、三重県、千葉県などでも被害が広がってきています。

そこで、研究グループの奈良女子大学と大栄工業は、スクミリンゴガイを効率的に大量捕獲できる箱型の捕獲器(商品名スクミッチ)と誘引剤を開発し、2024年3月には特許を取得しました。「スクミッチ」は2022年4月の販売開始以降、24年12月までに約4,500台が販売されるなど、普及が進んでいます。捕獲器1台と誘引剤は1セット約5,500円(税込み、2025年3月現在)で販売されています。

この捕獲器は、スクミリンゴガイが一度入ると逃亡しにくく、他の生物は入りにくい構造で、一度設置すると大量に捕獲できます。さらに、持ち運び用の取っ手や水が抜けやすいスリットを備えており、設置や回収が容易です。誘引剤は米ぬか・米こうじ・コイの餌を組み合わせ、ペレット化するなど効果が1週間以上持続するよう工夫されています。田植え後の水をごく浅めに管理し、この捕獲器を適切に設置すれば、農薬を使わなくても稲の被害をほぼ抑えられるという研究結果が出ています。

詳しい内容は以下のURLまたは別紙をご覧ください。
https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/contents/fukyu/episode/episode_list/168574.html

これまでに紹介した研究成果は以下のURLをご覧ください(全63話掲載)。
https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/contents/fukyu/episode/index.html