生物系特定産業技術研究支援センター

SIP

バイオベースポリマーからリチウムイオン2次電池の急速充放電を実現する負極活物質の開発に成功。

掲載日 : 2021年12月13日(月曜日)

北陸先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科の松見紀佳教授らの研究グループは、2021年12月9日、研究成果『リチウムイオン2次電池の急速充放電を実現する負極活物質を開発~バイオベースポリマー由来高濃度窒素ドープカーボン~』を発表しました。本研究は、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「スマートバイオ産業・農業基盤技術」バイオ資源循環コンソーシアムの「高機能バイオマテリアル設計・生産技術の開発」グループの取り組みとなります。

今日、次世代リチウムイオン2次電池開発においては、高容量化、高電圧化、難燃化など多様な開発の方向性が展開されていますが、中でも最も重要性を増しているものとして、急速充放電の実現が挙げられます。多くの国々がガソリン車から電気自動車への移行を進める中で、電気自動車の充電時間の短縮が課題となっています。

本研究成果として得られた「バイオベースポリマー(※1)由来高濃度窒素ドープカーボン(※2)」のような、電気自動車の急速充電に対応する関連技術の国際的な価値は極めて高いものとなることが予想されます。

今後は、企業との共同研究(開発パートナー募集中、サンプル提供応相談)を通して将来的な社会実装を目指します。急速充放電技術の普及を通して社会の低炭素化に寄与する技術への展開を期待します。

発表論文

雑誌名 : Chemical Communications
題 目 : Extremely Fast Charging Lithium-ion Battery Using Bio-Based Polymer-Derived Heavily Nitrogen Doped Carbon
著 者 : Kottisa Sumala Patnaik, Rajashekar Badam, Yueying Peng, Koichi Higashimine, Tatsuo Kaneko and Noriyoshi Matsumi*
  • 掲載日:2021年11月24日(英国時間)にオンライン版に掲載

DOI : 10.1039/D1CC04931C

関連情報

報道発表資料『リチウムイオン2次電池の急速充放電を実現する負極活物質を開発~バイオベースポリマー由来高濃度窒素ドープカーボン~』
URL : https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2021/12/09-1.html(外部リンク : 北陸先端科学技術大学院大学)

(用語)
※1バイオベースポリマー
生物資源由来の原料から合成される高分子材料の総称。低炭素化技術として、その利用の拡充が期待されている。

※2窒素ドープカーボン
グラフェン骨格中に窒素原子を導入した材料。白金触媒の代替として注目されている。