生物系特定産業技術研究支援センター

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バイオマス植物として有用なオギススキ新品種の開発

掲載日 : 2022年10月18日(火曜日)

農研機構は、バイオマス植物として利用が期待される、オギススキの新品種を開発しました。

オギススキは、バイオマス燃料として活用することで、政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル達成」に大きく貢献することが期待されます。しかし、オギススキは不稔性(※1)のため、草地を造成するために多くの株を増殖し移植する必要があることから、これまで普及が進んでいませんでした。

今回開発した新品種「MB-1」および「MB-2」は、株の広がりが既存品種に比べて2倍程度速く広がり、3年目には株幅が既存品種の3倍程度に広がります。これにより、既存品種では1haの草地を造成するために1万本の苗を移植する必要があったところを、4分の1に減らすことができます。また、いずれの品種も、1年目から3年目まで既存品種よりも多収であることが確認できました。

写真キャプション:新品種「MB-1」「MB-2」および既存品種の移植2年目の草勢(2021年10月撮影)

収穫したオギススキは、バイオマス燃料としての活用の他、糖、シリカ、パルプ等の産業原料や畜産での利用、おがくず代替としてのきのこ菌床製造への利用などさまざまな活用が想定されます。また、一度草地を造成すると10年以上利用可能で、年1回の施肥と収穫だけで管理できるため、他の作物に比べて圧倒的に省力管理が可能で、耕地に戻すことも比較的簡単です。そのため、耕作放棄地の省力的な活用技術として期待されます。

農研機構では、MB-1とMB-2の今後の普及に向けて、利用許諾契約の締結を希望する苗生産者を募集しています。栽培希望者への苗の販売は2023年4月以降を予定しています。

詳細情報

バイオマス植物として有用なオギススキ新品種の開発 株の広がりが速く、草地造成が簡単に-
https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/tarc/151373.html

用語

1. 不稔性 : 植物が種子を生じないこと。オギススキは種子を作らず、地下茎が広がることによって繁殖する。