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SIP

マイクロバイオームデータ利活用に向け国立遺伝学研究所とちとせグループが提携を開始

掲載日 : 2023年2月20日(月曜日)

大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所(以下遺伝研)とちとせグループ(以下ちとせ)は、微生物統合データベースMicrobeDB.jpの民間における利活用および社会実装促進を目的として提携しました。

MicrobeDB.jpは、遺伝研が2011年より公開している微生物統合データベースです。世界中の研究論文に付随して公開された160万サンプルを超えるマイクロバイオームデータ(ヒトの体内や環境中に存在する微生物叢)が自動で収集されており、ヒトの健康状態などを含む付加情報(メタデータ)と紐づけられて整備されています。

マイクロバイオームは、健康や美容、医療のほか、農業、環境保全、軽度不調(※)など様々な分野での応用が期待されています。今回の提携により、MicrobeDB.jpのデータをちとせのAI技術や解析基盤を用いて活用することで、マイクロバイオームデータからヒトの健康状態を予測したり、マイクロバイオームを整えるために効果的な生活習慣を導き出したりといった解析サービスに用いることができるようになりました。

さらに、ちとせがヘルスケア産業界から抽出したニーズに合わせてMicrobeDB.jpのデータや機能を拡張することで、ヘルスケア企業のビジネス開発において有用なデータ活用基盤にアップデートしていきます。これにより、学術論文データという公共リソースの利用価値が最大化され、エビデンスに基づいたヘルスケア産業創出に繋がります。

この提携は、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP) 第2期 スマートバイオ産業・農業基盤技術事業における遺伝研とちとせの取り組みから発展した大規模データを、民間企業が利活用する社会実装の形となります。SIPでは、1000人以上の健常な日本人から、腸内マイクロバイオームデータや身体情報、健康情報、生活習慣等のデータが取得されており、それらを集積したデータベース(SIP Healthcare Group Sharing Database:SHD)が2024年度より一般公開される予定です。
(参考 : https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/sip/sip2/implement/02.html)

MicrobeDBの学術論文データとSHDの健常人データの比較が可能となることで、質の高い公共データを活用した疾患とマイクロバイオームとの関連解析などが促進されることが期待されます。

用語説明

軽度不調 : 人々が主観的に感じる軽度な心身の不調のこと。日本セルフケアフード協議会(https://scfc.or.jp/)がエビデンスとしての商品の認証を推進している。

関連URL

https://chitose-bio.com/jp/news/5078/