生物系特定産業技術研究支援センター

(25068C) 効率的な牛群検査による撲滅対象疾病摘発手法の開発

事業名 農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業(実用技術開発ステージ)
実施期間 平成25~26年(2年間)
研究グループ
(研究終了当時)
農研機構 動物衛生研究部門、家畜改良センター、株式会社ニッポンジーン
作成者 農研機構 動物衛生研究部門 森 康行、川治 聡子、永田 礼子

1 研究の背景

撲滅対象疾病であるヨーネ病の防疫対策には、感染源となるヨーネ菌排菌牛の摘発が極めて重要であり、数百万頭に上る国内飼養牛を効率良く検査する手法の開発が望まれている。

2 研究の概要

多数の糞便検体を効率的に検査する為に、複数頭の糞便をプールして遺伝子検査を行うスクリーニング法、並びに特異性の高い新たなヨーネ病遺伝子診断法を開発した。

3 研究期間中の主要な成果

  • 糞便よりヨーネ菌DNAを抽出・精製する方法を改良し、従来は困難であった糞便プール検体の高感度な検査が可能となった。
  • インターナルコントロール(IC)を添加したスクリーニング遺伝子検査法の開発により、偽陰性の識別が可能となり検査精度が向上した。
  • ICを含むTaqManプローブ法をヨーネ病遺伝子検査の確定診断法として開発した。

4 研究終了後の新たな研究成果

  • プール糞便検査法を野外のヨーネ病発生農場の清浄化に応用した結果、検査を繰り返すことによりの農場の清浄化が達成されることが明らかとなり、本検査法の有用性が実証された。
  • ヨーネ病確定診断法におけるプローブを改良することにより、検査精度を向上させることに成功した。

5 公表した主な特許・品種・論文

  • 特許P6156824-特許名 : ヨーネ菌検出用プライマー及びそれを用いたヨーネ菌の検出 (出願人 : 農研機構、家畜改良センター、株式会社ニッポンジーン)
  • Mita, A. et al. Comparison of fecal pooling methods and DNA extraction kits for the detection of Mycobacterium avium subspecies paratuberculosis. MicrobiologyOpen 5(1):134-42 (2016).

6 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

(1) 実用化・普及の実績

  • 株式会社ニッポンジーン、並びに株式会社ファスマックにより研究成果の実用化が進められ、現在研究用試薬類として市販され、農林水産省動物検疫所、北海道や岩手県、群馬県ほか34都道府県の家畜保健衛生所などにおいて検査に活用されている。
  • 検査方法の詳細については、動衛研ヨーネ病ユニットがマニュアルを作成し、ウェブ上で公開している。

(2) 実用化の達成要因

研究終了時に想定通りの成果が得られたこと、さらに研究成果を普及させる為の試薬や診断キットの製品化が民間メーカーにより積極的に進められたことにより、速やかな実用化が達成された。

(3) 今後の開発・普及目標

開発されたヨーネ病遺伝子検査法を家畜伝染病予防法における法的診断法とするために、診断薬として製造・販売申請を行う。

7 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

開発された検査法が今後有効活用され、ヨーネ病の防疫対策が効率的に進められることにより、わが国における牛ヨーネ病の清浄化が進展するものと期待される。

(25068C) 効率的な牛群検査による撲滅対象疾病摘発手法の開発