生物系特定産業技術研究支援センター

(c074) ICTを活用した超高級ブドウの房毎の品質管理技術の開発

事業名 革新的技術開発・緊急展開事業(うち地域戦略プロジェクト)
実施期間 平成28年4月~29年3月(1年間)
研究グループ
(研究終了当時)
ICTを活用した超高級ブドウ研究コンソーシアム(NECソリューションイノベータ株式会社、香川県農業試験場府中果樹研究所)
作成者 NECソリューションイノベータ株式会社 久寿居 大

1 研究の背景

シャインマスカットは成熟に伴う外観上の変化が少なく、ごくまれに糖度が低い品質不良のものが出荷されることがあり、それは産地ブランドを著しく毀損することにつながりかねない。

2 研究の概要

栽培から出荷・流通までの過程におけるブドウの品質を房単位で計測し、クラウド上に蓄積し、そのデータを用いることにより、生理障害の発生予測や収穫最適時期を自動判定する一貫した品質管理技術の確立。

3 研究期間中の主要な成果

  • ノーミス入力検査端末で入力される糖度データと成長予測曲線から、生産者にアドバイスや収穫予想日を提示する品質管理クラウドシステムを開発、労働時間増加を3%以下に抑えながら出荷品質向上10%以上を達成。
  • 房にICタグを付与したまま最終的に実際に試行販売を行い、消費者が自分のスマートフォンをICタグにかざすことでシャインマスカットに関する様々な情報を閲覧可能にした。
  • ジベレリン処理目印果粒により房型を崩すことなく時期別の本体果房の糖度を推定可能となり、房型を崩すことなく高糖度の高級ブドウとして出荷可能とした。

4 研究終了後の新たな研究成果

  • 福田哲生.ブドウ「シャインマスカット」におけるジベレリン目印果粒を利用した果房品質の推定.豊穣(香川県農業試験場 発行).2017年7月。
  • 福田哲生.ブドウ「シャインマスカット」におけるジベレリン目印果粒を利用した果房品質の推定.香川の果樹(香川県果樹研究同志会 発行).2017年11月。

5 公表した主な特許・品種・論文

該当なし

6 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

(1) 実用化・普及の実績

香川県農業試験場府中果樹研究所から香川県シャインマスカット生産者に対してジベレリン目印果粒を利用した果房品質の推定技術を普及。本事業で得られた知見をNEC営農指導支援システムに反映、ミカン等他品目を対象に静岡県、三重県、長崎県等で活用中。

(2) 実用化の達成要因

  • 委託期間中(2016年8月)に高松市にて、基準糖度18を満たす果房をICタグ付きシャインマスカットとして高松青果に出荷し、県内の小売業者にて試行販売実施。
  • 農業ワールド2016 国際次世代農業EXPOに出展し、品質管理クラウドシステムのベースとなったNEC営農指導支援システムを展示し、実証内容を紹介。

(3) 今後の開発・普及目標

本事業で得られた知見を反映したNEC営農指導支援システムの普及をさらに拡大予定。

7 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

低糖度の房が出荷されてしまうリスクを0%にでき、ブランド産地としての価値を高められるだけでなく、房ごとに収穫時期を予測可能になるので、出荷計画が立てやすくなり価格交渉を優位に進められるようになる。

(c074) ICTを活用した超高級ブドウの房毎の品質管理技術の開発