生物系特定産業技術研究支援センター

(17) 海外輸出に対応できる日本茶生産体系の実証研究

事業名 攻めの農林水産業の実現に向けた革新的技術緊急展開事業
実施期間 平成26年~27年(2年間)
研究グループ
(研究終了当時)
農研機構 野菜茶業研究所、農研機構 食品総合研究所、静岡県立大学、岩手県立大学、鹿児島県農業開発総合センタ-、宮崎県総合農業試験場、長崎県農林技術開発センター、カワサキ機工(株)、松元機工(株)、JAかごしま茶業(株)、鹿児島県南薩地域振興局、宮崎県西臼杵支庁、長崎県農産園芸課
作成者 農研機構 果樹茶業研究部門 根角 厚司
連絡先 農研機構 果樹茶業研究部門 企画管理部 企画連携室
電話 : 029-838-6453
メール : NIFTS_inq[アット]naro.affrc.go.jp ※[アット]を@に置き換えてください

1 研究の背景

近年、海外における緑茶の消費は急増しており、日本茶への期待は高い。輸出拡大のためには、海外の多様なニーズへの対応が求められており、輸出対応型生産体系を構築する必要がある。

2 研究の概要

大規模茶園における輸出対応型減農薬、高品質茶栽培技術と多様な需要に対応したてん茶およびCTC※緑茶(簡易製法)生産技術及び中山間地茶園における輸出対応型減農薬栽培技術および高品質新香味釜炒り茶生産技術を実証し、海外輸出に対応した日本茶生産体系における経営評価とマーケティング戦略を構築する。

※CTC(crush、tear、curl)とは加工工程を示す英単語の頭文字をとった用語

3 研究期間中の主要な成果

  • サイクロン式茶園クリーナーを開発した。
  • てん茶、CTC緑茶、蒸し製玉緑茶製造のための新製茶ハイブリッドライン利用技術を構築した。
  • 新香味釜炒り茶製造のためのドラム式萎凋機を開発した。
  • 食品機能性表示商品(べにふうき緑茶)を開発した。

4 研究終了後の新たな研究成果

  • 新製茶ハイブリッドラインの改良によるてん茶、CTC緑茶の高品質化技術の確立(カワサキ機工(株)・鹿児島県・長崎県)
  • 新型萎凋機の改良による紅茶、半発酵茶の高品質化技術の確立(カワサキ機工(株)・宮崎県)

5 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

(1) 実用化・普及の実績

  • サイクロン式茶園クリーナーは、病害虫の低減効果だけで無く、鹿児島県特有の降灰除去、防風林からの落ち葉等の除去にも応用でき、有機栽培農家に3台販売。輸出向け防除体系は、鹿児島県内で135工場、375haに導入。
  • 新製茶ハイブリッドラインは、てん茶需要の高まりもあり31台を販売。
  • ドラム式萎凋機は、紅茶や半発酵茶を製造する中小規模の生産者に普及し、16台を販売。

(2) 実用化の達成・普及の要因

研究開発のテーマが茶業を取りまく世界的な情勢と実需者のニーズにマッチしたこと、プロジェクト終了時に残された問題点等について、後継プロジェクトに課題を引き継ぎ、技術のブラッシュアップを図ったこと、および普及活動を長期間継続できたこと。

(3) 今後の開発・普及目標

2020年までに新製茶ハイブリッドライン50台、ドラム式萎凋機30台、サイクロン式防除機活用面積500haを目指す。また、2022年までにサイクロン防除機のロボット化を目指す。

6 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

茶の栽培、加工技術体系が大きく変化し、国産発酵茶(紅茶や半発酵茶)の高品質化、抹茶や粉末茶原料の低コスト大量生産が可能となり、日本茶の海外輸出拡大に貢献できる。

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