生物系特定産業技術研究支援センター

(23027) 農業機械におけるシンプル化と情報化・高度化を両立する通信制御共通化技術の開発

事業名 農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業(実用技術開発ステージ)
実施期間 平成23年~25年(3年間)
研究グループ
(研究終了当時)
農研機構 北海道農業研究センター、農研機構中央農業総合研究センター、 農研機構近畿中国四国農業研究センター、 北海道立総合研究機構産業技術研究本部工業試験場、(株)クボタ、ヤンマー(株)、井関農機(株)、三菱農機(株)、松山(株)、小橋工業(株)、(株)やまびこ、(株)IHI スター、三陽機器(株)、東洋農機(株)、北海道立総合研究機構中央農業試験場、北海道立総合研究機構十勝農業試験、JFMMA日本農業機械工業会
作成者 農研機構 農業技術革新工学研究センター 西脇 健太郎

1 研究の背景

農業機械のICT化が求められる中、トラクタと作業機間の通信を共通化し、様々な機器類を汎用的に活用することのできる、共通通信制御技術の開発と普及が求められていた。

2 研究の概要

トラクタと作業機間における通信制御技術をメーカーの枠を超えて共通化し、シンプルで低コストな農業機械に高度な機能を追加可能とすることで、農業機械のシンプル化と高度化の両立を果たす技術を開発した。

3 研究期間中の主要な成果

  • トラクタと作業機間における通信制御技術の開発・市販化に使用可能な、共通化ECUハードウエアを開発した。
  • 上記で開発した共通化ECUハードウエアの周辺機能を拡張するための拡張用ハードウエアを開発した。

4 研究終了後の新たな研究成果

開発した高機能な共通通信規格の機能を絞り、メーカーが導入しやすいように工夫した簡易版共通通信技術の規格化(農業機械の通信制御共通化プロトコル : AG-PORTの制定、平成29年12月2日)を行った。

5 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

(1) 実用化・普及の実績

  • 共通化ECUハードウエア : 販売実績 370台
  • 拡張用ハードウエア : 販売実績 143台
  • AG-PORT(共通通信規格) : 販売実績 13,000台(2017年度)

(2) 実用化の達成・普及の要因

トラクタと作業機との共通通信制御技術に関する研究及び情報の蓄積があったこと、日本の主要な農業機械メーカーが参加したこと、オープンな開発環境となるように事業をコーディネートできたこと、既に北海道など一部の地域では先進農家が海外からこうしたIT搭載農業機械の導入を進めており、国内メーカーが新製品への導入に意欲的であったこと。

(3) 今後の開発・普及目標

本研究で開発した技術を発展させ、地力や生育量に応じた肥料の可変散布や2度散きを防止する作業幅自動変更機能、作業ログの自動生成など、より高機能な通信制御技術の開発につなげていきたい。

6 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

共通通信技術に対応した農業機械が普及することにより、農作業の高度化が実現し、高品質・低コストな農作物の生産が可能となる。

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