生物系特定産業技術研究支援センター
(23031) 食料自給率向上を目指した豆類優良品種の育成
事業名 | 農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業(実用技術開発ステージ) |
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実施期間 | 平成23年~25年(3年間) |
研究グループ (研究終了当時) |
農研機構、道総研、北海道、岩手県、福島県、新潟県、石川県、長野県、千葉県、京都府、鹿児島県、朝日食品(株) |
作成者 | 農研機構 次世代作物開発研究センター 羽鹿 牧太 |
連絡先 | 農研機構 次世代作物開発研究センター 畑作物研究領域 羽鹿 牧太 電話 : 029-838-7449 メール : mhajika[アット]affrc.go.jp ※[アット]を@に置き換えてください |
1 研究の背景
豆腐、味噌、あんこなどの日本型食生活に欠かせない食材である豆類の自給率向上のためには、機械化適性や品質が向上した新品種の育成・普及が強く求められている。
2 研究の概要
寒地向けの機械化適性や耐冷性を備えた高品質大豆品種、機械化適性と加工適性に優れた小豆品種、多収で良食味の落花生品種等の豆類の新品種を育成する。
3 研究期間中の主要な成果
北海道の主力品種「ユキホマレ」に比べ、豆腐加工適性や耐冷性に優れる大豆新品種「とよみづき」を育成した。「とよみづき」は難裂莢性などの機械化適性や病虫害抵抗性などの主要な栽培性は「ユキホマレ」とほぼ同等で、開花期頃の低温時に多発する裂開粒の発生が少なく、タンパク質含有率が高い。
4 研究終了後の新たな研究成果
平成27年に事業実施中に選抜した有望系統から、莢の外観が良く、ショ糖含量が高く煎り莢の食味に優れる落花生新品種「千葉P114号」を育成した。「千葉P114号」は中生の「ナカテユタカ」とほぼ同熟期で、収量も同等以上、幼芽褐変症の発生が少なく出芽が良い。
公表した主な特許・品種・論文
- 品種登録番号23740 だいず新品種「とよみづき」(十育249号)北海道立総合研究機構十勝農業試験場(2012/5/1)
- 品種登録番号27024 落花生新品種「千葉P114号」(関東114号)、千葉県農林総合研究センター(2015/2/27)
- 品種登録番号24437 大納言小豆新品種「紅舞妓大納言」(京都小豆1号)、京都府農林水産技術センター(2015/08/27)
5 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開
(1) 実用化・普及の実績
「とよみづき」は平成25年から本格普及を開始し、平成28年には道東を中心に2,418haに達した。「千葉P114号」は平成30年から千葉県で本格普及を開始した(70ha)。
(2) 実用化の達成・普及の要因
「とよみづき」は北海道優良品種に認定されるとともに、「ユキホマレ」の加工適性改善を求める実需者ニーズにマッチしたこと、冷害多発地帯の安定生産への期待度が大きかったこと、育成の段階からPR活動を進めたことなどが早期の普及につながった。
「千葉P114号」は巡回指導や講習会の開催、「Qなっつ」の愛称付与と宣伝活動など生産者や実需者と連携した活動による認知度向上が普及につながった。
(3) 今後の開発・普及目標
「とよみづき」は「ユキホマレ」の一部に代えて冷害多発地域を中心に6,000ha程度の普及を見込んでいる。また「千葉P114号」は需要に応じて生産拡大し、300~500haの普及を見込んでいる。
6 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献
本事業で開発した品種は、豆類の生産安定化・高収益化など農業振興を通じた食料自給率向上に貢献するほか、生産物を用いた製品開発などで地域産業の活性化や多様な食生活の実現に活用できる。