生物系特定産業技術研究支援センター

(32) 半閉鎖型管理(SCM)による施設野菜・花き類の生産性向上技術の実証研究

事業名 攻めの農林水産業の実現に向けた革新的技術緊急展開事業
実施期間 平成26年~27年(2年間)
研究グループ
(研究終了当時)
愛知県農業総合試験場、愛知県東三河農林水産事務所、JAあいち経済連、トヨタネ(株)、(株)デンソー
作成者 愛知県農業総合試験場 二村 幹雄
連絡先 愛知県農業総合試験場 東三河農業研究所 花き研究室 二村幹雄
電話 : 0532-61-6235
メール : mikio_nimura[アット]pref.aichi.lg.jp ※[アット]を@に置き換えてください

1 研究の背景

東海地方は全国に野菜、花きを周年供給しているが、収量の伸び悩み等により、収益の向上が難しくなっている。

2 研究の概要

大規模、先進的経営を進めようとする法人・企業経営を行う生産者を支援すべく、CO2施用効率を高める施設の半閉鎖型管理(SCM)を高度環境制御により容易とし、生産力を向上させ、競争力を高める。

3 研究期間中の主要な成果

「新たな環境制御システムを利用したバラ半閉鎖型管理技術」の開発

  • バラで半閉鎖型管理を実現させるため、新たな環境制御システム「統合環境制御装置」及び「加湿用細霧システム」を利用して、加湿用細霧システムによる夏期高温対策用の噴霧条件、秋~春期には換気制御ができる湿度管理条件を明らかにした。
  • 半閉鎖型管理の現地実証において、効率的なCO2施用とその施用によるバラ切り花30%以上の増収効果を得た。

4 研究終了後の新たな研究成果

「バラにおけるCO2長期・長時間施用指針」を作成

光合成を盛んにするため、栽培施設内のCO2濃度を積極的に高める施用指針を作成した。

  • 細霧噴霧による適切な湿度管理(気孔を開きCO2を取り込みやすくする)
  • 施用したCO2を施設外に出さない温度管理と局所施用法

等がポイントでこれにより総収量や長い切り花の増加が期待できる。

5 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

(1) 実用化・普及の実績

  • 統合環境制御装置「プロファーム」H27年8月製品化、高圧細霧装置「グローミスト」H25年7月製品化トマト、キュウリ、バラ等の合計で、全国における統合環境制御装置「プロファーム」の販売台数154台、高圧細霧「グローミスト」の販売台数202台。
  • 愛知県におけるバラでの環境制御器の導入状況(バラ生産農家105戸中の導入戸数割合、導入面積)CO2施用(64%、631a)、高圧ミスト(28%、986a)、ヒートポンプ(94%、4,355a)。

(2) 実用化の達成・普及の要因

バラ切り花の販売価格が低迷する中、開発した技術のコストパフォーマンスが最も重要な要因になっていると考えられる。

(3) 今後の開発・普及目標

半閉鎖型管理は、CO2長期・長時間施用指針に基づいた実施により大幅な増収が見込め、さらなる普及が期待される。委託プロジェクト研究「収益力向上のための研究開発」(H27~31年度)においては、低コスト高温対策に適したバラの樹形管理方法について新たな仕立て方法の切り上げ方式を見出している。

6 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

我が国のバラ産出額は180億円であり、開発した技術・成果が普及することにより産出額が30%増になると、54億円の経済効果となる。バラ半閉鎖型管理(SCM)技術で利用した新たな環境制御システム及び「加湿用細霧システム」は、他の施設野菜・花き類への波及効果が期待でき、国民生活への貢献も大きい。

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