生物系特定産業技術研究支援センター
(23005) 高アントシアニン茶品種「サンルージュ」の普及と抗ストレス作用を活用した食品開発
事業名 | 農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業(実用技術開発ステージ) |
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実施期間 | 平成23年~25年(3年間) |
研究グループ (研究終了当時) |
農研機構 野菜茶業研究所、京都大学(院)農学研究科、九州大学(院)農学研究院、日本製紙(株)、ネピュレ(株)、フンドーキン醤油(株)、鹿児島県大島支庁 |
作成者 | 農研機構 果樹茶業研究部門 根角 厚司 |
連絡先 | 農研機構 果樹茶業研究部門 企画管理部 企画連携室 電話 : 029-838-6453 メール : NIFTS_inq[アット]naro.affrc.go.jp ※[アット]を@に置き換えてください |
1 研究の背景
国民栄養調査(H14)ではストレスを感じる国民は80.5%で、連続的な疲労・ストレス状態が生活習慣病を引き起こすことが危惧されており、生活習慣病を予防しうる機能性食品への国民の期待が高まっている。
2 研究の概要
抗疲労効果を持つ高アントシアニン茶品種「サンルージュ」を広く国民が利用するために、本品種の特性を活かした商品の開発とその機能性の評価および原料供給のための栽培、加工技術を確立する。
3 研究期間中の主要な成果
- サンルージュピューレに熱ショックタンパク質誘導機能があることを発見した。
- サンルージュピューレに筋萎縮抑制作用の可能性を発見した。
- サンルージュのアントシアニン含量は施肥量との関係が深いことを明らかにした。
- サンルージュを用いたピューレ加工法を確立した。
- サンルージュピューレを用いたドレッシングを開発した。
- 徳之島(天城町)においてサンルージュの生産組織を立ち上げ、8haの茶園を新植した。
4 研究終了後の新たな研究成果
- サンルージュの加工法改善による製茶品質の改良(鹿児島県・徳之島製茶)
- サンルージュの食後血糖値の上昇を緩やかにする機能を発見(日本製紙株式会社)
5 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開
(1) 実用化・普及の実績
- サンルージュエディブルドレッシングの発売(アントシアニンの特性上、賞味期限が短かったため終売)
- サンルージュを利用した機能性表示食品「日ノ茜PLUS」の開発(日本製紙株式会社)
- 徳之島で約8ha普及。その他、鹿児島県、宮崎県、静岡県、埼玉県などで普及
- JAかごしま茶業(サンルージュ(ベリーの香り)、JAくみあい食品(ピーチサンルージュ)販売
- 焼津冷蔵(サンルージュ茶葉使用しめさば)販売 農林水産祭内閣総理大臣賞受賞
(2) 実用化の達成・普及の要因
サンルージュの茶としての新規性、茶業以外の業界とのマッチング活動、アウトリーチ活動、エビデンス獲得のための研究をプロジェクト終了後も新たな支援事業により継続できたこと。
(3) 今後の開発・普及目標
実需者とのマッチング活動を継続し、需給バランスを取りながら普及を進める。サンルージュの機能性に関するエビデンスを積み上げ、インバウンド需要と海外輸出の拡大を図る。(全国で20haの普及を目指す)
6 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献
日常的に摂取する茶において、抗ストレス、抗疲労食材としての商品を提供することで、国民の健康保持と食生活の質の向上、QOL(生活の質)の向上に貢献する。