生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

異分野融合研究支援事業

2006年度 事後評価結果

農水産物の脂溶性機能性成分CDラップを用いた新規食品の開発

技術コーディネーター

三輪 章志(石川県農業総合研究センター)

研究参画機関

  • 石川県農業総合研究センター
  • 国立大学法人岩手大学農学部
  • 塩水港精糖株式会社
  • 株式会社スギヨ
  • 株式会社柴舟小出

総合評価

当初目標を達成

コメント

デンプンと脂溶性成分・素材を添加した溶液にサイクロデキストリン合成酵素を反応させると、サイクロデキストリンと脂溶性成分の一群の混合物(CDラップ)が形成されるCDラップ製造法を開発した。DHA・EPA製剤、ビタミンD3製剤、ショウガ絞り粕、米糠のCDラップをプラントレベルで試作した。また、脂溶性成分・素材を油脂に分散させた油脂相とデキストリンを水に分散させた水相を調製し、両者を混合攪拌して脂溶性成分・素材を油脂で被膜し、さらに、その周りをデキストリンで被覆する糖質ラップの製造法を開発した。アスタキサンチン、抹茶の糖質ラップをプラントレベルで試作した。これらのCDラップや糖質ラップを使って、ちくわ、蒲鉾、水羊羹を試作した。このように、脂溶性成分の水溶性と安定性を向上させる技術としてCDラップ、糖質ラップという新しい概念を提案し、製造法の確立とそれを利用した商品開発まで行ったことは評価できる。今後、一品でも上市されれば、将来の本技術の波及効果は大きいと考えられる。
なお、研究実施期間中の原著論文数は少なかった。CDラップそのものの概念が学会誌等に認められるにはさらに時間が必要と考えられる。今後の研究の発展に大きく期待するとともに国際的に評価されるために、是非とも外国誌に投稿して欲しい。