生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

異分野融合研究支援事業

2007年度 事後評価結果

沖縄産シイクワシャー由来のメタボリックシンドローム予防食品の開発

研究代表者

太田 英明(中村学園大学栄養科学部)

研究参画機関

中村学園大学

総合評価

当初目標を達成

コメント

沖縄本島北部を中心に生産されているシイクワシャー(カンキツの1種)の搾汁残渣を酵素処理し、ノビレチン等有用成分の抽出を行い、その乾燥粉末を製品化した。果皮については湿式粉砕したペーストから果汁飲料およびペースト乾燥品を製造、開発した。これら抽出物乾燥品およびペースト乾燥品には、肥満者のインスリン抵抗性の改善と血中アディポネクチンの増加が認められ、さらに肝臓中の中性脂肪含量の低減効果とともに、血糖抑制作用も認められた。特に、ペースト乾燥品には抗糖尿病作用などメタボリックシンドローム予防への可能性が認められた。今後は、これら製品としての有効性を検証し食品安全評価試験を終了させた後、これら製品製造に係わるコンサルタント業務と販売を目的としたベンチャー企業を設立し、JAおきなわを運営主体とする事業化を計画している。
以上のように、県特産果実の搾汁残渣を利用した高付加価値製品開発への展望を開くことができ、当初の目標を達成した。ただし、製品の機能性効果については確固たる科学的証拠による裏付けが必要である。これを基盤とし、ヒトでの安全性の確立、大量生産のプロセスと経済性の確立、関連特許の申請、ベンチャー企業の有効な立ち上げなど、事業化に向けた綿密かつ着実な計画と推進が望まれる。