生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

異分野融合研究支援事業

2010年度 事後評価結果

環境調和を考慮した細菌情報伝達阻害型薬剤の開発

技術コーディネーター(所属機関)

内海 龍太郎(近畿大学農学部)

研究参画機関

  • 近畿大学農学部
  • 財団法人微生物化学研究会微生物化学研究センター
  • 大阪大学産業科学研究所
  • 石川県立大学
  • 大洋香料株式会社

総合評価

当初目標を達成

講評

細菌の増殖は阻害せず、情報伝達や毒素生産、バイオフィルム生産などの標的現象のみを阻害する新しいタイプの阻害剤6種類を発見し、当初予定していた目的をほぼ達成する研究実績を挙げた。
発見した阻害剤の中には、黄色ブドウ球菌を対象としたときのように、細胞分裂を阻害し、死滅させるものも含まれるが、これらは多剤耐性菌にも有効な新規抗生物質のリード化合物として、違った観点から有望である。また、情報伝達系タンパク質の立体構造決定、セルコンビケム技術によるセスキテルペン生産系の開発などに成功した。これらはいずれも今後の生物系産業創出につながる優れた研究成果であり、その中には世界初の研究成果も含まれる。
研究成果は、13件の特許出願と21報の論文として公表された。5チームによる5年間の発表論文の数として21報は、若干少ないとも考えられる。しかし、阻害剤候補の探索・スクリーニング、化学構造分析、X線立体構造解析、活性・安定性評価などが一体となったプロジェクトであり、5チームというより1つのチームであると考えれば、年間約5報の論文公表になり妥当である。
この成果を挙げるにあたり、近畿大学を中心とした連携体制は十分に機能したと考えられ、その証拠として共著、共願が非常に多い。