技術コーディネーター
マーシー・ニコル・ワイルダー ((独)国際農林水産業研究センター)
参画機関
(独)国際農林水産業研究センター、(株)アイ・エム・ティー、(独)水産総合研究センター養殖研究所、(株)ヒガシマル
【研究内容】
淡水・高密度養殖に適応するエビのバナメイ種は、世界のエビ流通市場で注目されている。本種をわが国に導入し、閉鎖式淡水養殖によるバナメイ養殖システムを開発し、事業レベルの生産に必要なマニュアルを整備する。
このため、バナメイの発育生理を解明し、これに基づく育成環境調整(温度、酸素濃度、密度、pHなど)、ストレス低減法、低コストの人工飼料開発、環境負荷低減法、省資源プラント運転手法など、多角的に検討してシステム開発に反映させる。また、成エビの成熟機構を解明して国内での種苗生産を検討する。
【中間評価結果概要】
研究期間前半の目標である、バナメイの催熟技術、淡水化養殖技術、ストレス判定技術、人工餌料開発について、当初計画通りの成果をあげた。特に生殖機構解明のための卵黄形成抑制ホルモンの探索など、生理学的研究を中心とした本コンソーシアムの基幹となる技術開発には大きな進捗がみられる。また、その成果を積極的に公表している。
プラント規模での実用化技術は、施設が老朽化して新設作業が行われたこともあり、生理学的研究で得られた成果が十分に反映されていない。また、バナメイの配合飼料の基本組成が確立されつつあるが、これを用いた実用化レベルでの養殖試験が未着手になっている。研究室レベルでは可能な生物の飼育培養技術でも、実用化レベルに拡大するためには質的な飛躍が必要となることもある。このため、研究室の実験結果と事業規模での実証試験の結果とは常にフィードバックできるように、参加機関の連携を十分に計り、各研究機関で完成した技術は早めに実用化試験に取り入れて、全体的な目標の達成に向けて研究を推進してほしい。
課題「事業化レベルでの種苗生産の検討」は、平成18年度に新たに策定し、追加した。種苗の国産化・完全養殖技術は、問題解決の行程を明らかにし、残りの研究期間での解決課題を明確にして、これを着実に実施することを希望する。