生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

異分野融合研究支援事業

2006年度 中間評価結果

バキュロウイルスの特性を利用した家畜用ワクチンの開発

技術コーディネーター

矢野 良治(BachTech株式会社)

参画機関

BachTech株式会社、国立大学法人大阪大学、学校法人千葉工業大学、全農飼料畜産中央研究所、国立大学法人北海道大学

【研究内容】

昆虫ウイルスであるバキュロウイルスは、哺乳動物細胞に効率よく自然免疫を誘導できる。また、組換えバキュロウイルスを用いて昆虫細胞で大量に産生されたE型肝炎ウイルス様粒子は、経口投与によって動物の血中に高い中和抗体の誘導が可能である。このようなバキュロウイルスの特性を利用して、豚繁殖呼吸器症候群(PRRS)やトリインフルエンザに対する新しい粘膜ワクチンを開発する。

【中間評価結果概要】

中和エピトープの組み込みが少し遅れている。研究後半は、ワクチンの接種方法を絞り込み、実用性を確認することが重要である。豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルスの中和エピトープを挿入したHEV-LPのブタ経鼻接種、トリインフルエンザウイルスHAを持ち、HAを発現するバキュロウイルスのニワトリ経鼻接種で、感染抵抗性を獲得するかどうか検討し、予防効果を示す必要がある。
千葉工業大学は、独自にバキュロウイルスをマウスに接種し、体内動態、免疫応答を調べているが、基礎研究として蓄積しているデータをコンソーシアム内でどのように活かすか、コーディネーターの力が問われる。
一部遅れている部分があるが、新しい技術の開発に取り組んでいることに意義がある。
PRRS、鳥インフルエンザ共に重要な課題であるため、実用化に向けた技術開発を期待する。