■技術コーディネーター
今西 重雄(独立行政法人 農業生物資源研究所)
■研究実施期間
平成19年度~23年度(5年間)
■研究の概要
犬の寄生虫病である犬フィラリア症の感染早期の正確な診断法を確立するために、新たに開発したカイコ培養細胞とカイコバキュロウイルス発現系を用いて、フィラリア虫体表面タンパク質をカイコ細胞膜に発現させる。発現した膜タンパク質から精度が高いモノクローナル抗体を直接作製するとともに、反応性の高い高次構造タンパク質抗原に改変して大量生産し、検出キットの作製、有効な診断薬の開発とワクチン生産の可能性を検討する。
【コンソーシアムの構成】
- カイコ培養細胞系の維持管理、高密度培養と組換えウイルスの持続的感染条件の解明
<独立行政法人農業生物資源研究所 今西 重雄> - 犬フィラリアのcDNAラブラリーの作製と抗原遺伝子の解析
<日本獣医生命科学大学 中垣 和英> - 犬フィラリア関連遺伝子の組換えウイルスの作出と発現確認
<株式会社バキュロテクノロジーズ 馬嶋 景> - バキュロウイルス発現系によるフィラリア関連分子の発現とその構造機能解析
<京都府立医科大学 武内 恒成> - 犬フィラリア関連遺伝子産物の大量発現、精製、抗体作製と検出キットの構築
<株式会社シマ研究所 吉田 芳哉> - 犬フィラリアの血清抗体ライブラリーの作製、感染防御実験と検出キット評価
<日本大学 生物資源科学部獣医学科 野上 貞雄>
■期待される成果、効果
カイコ細胞―カイコバキュロウイルス系を用いることにより、犬フィラリア感染症の 早期診断技術やワクチンの開発が可能になり、駆虫薬投与による副作用から回避できる。また、マラリア等の人畜共通感染症の早期発見・撲滅にも応用が期待でき、新たな産業の発展が望める。