生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

イノベーション創出基礎的研究推進事業(終了)

2010年度 継続審査結果

ウイルスベクターを利用した原虫感染レセプター同定系の開発

研究代表者氏名及び所属

加藤 健太郎(東京大学大学院農学生命科学研究科)

継続審査結果概要

本研究は原虫膜抗原に対する宿主細胞レセプターの新しい同定法の確立に成功し、トキソプラズマ原虫およびマラリア原虫の膜抗原に対する宿主リセプターを複数同定した。また原虫の宿主細胞侵入機構の解明に関して幾つかの分子の機能を解明した。

したがって、当該3年間の成果は充分に評価できるものである。今後2年間の継続研究においては、(1)原虫糖鎖レセプターの機能解析を基にした糖鎖製剤シーズの開発と(2)原虫プロテインキナーゼを標的とした抗原虫薬シーズの開発を研究項目として挙げている。

これらは、現在の研究成果に基づいたものであり、最終達成目標が明確で、達成のためのアプローチも妥当と思われる。このプロジェクトの延長によって、更なる成果が期待できる。ただ、継続課題では畜産業でより重要なタイレリア原虫について、モデル原虫と同レベルの研究、すなわちレセプターの同定、これらと関わる原虫の宿主侵入機構の解明、抗原虫薬シーズの開発、を追加することが望ましいと判断する。

これによって、現在特に求められている家畜原虫病に対する治療薬の開発に新しい道筋をつけることが期待される。