研究代表者氏名及び所属
高山 誠司(国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科)
研究実施期間
平成20年度~24年度(5年間)
研究の趣旨・概要
塩基配列の変化を伴わず遺伝子の発現に影響を及ぼすゲノムの化学修飾の全体をエピゲノムと称する。近年の研究は、エピゲノムが様々な生命現象を高次にコントロールしていることを急速に明らかにしてきている。植物の改良を目的とする植物育種の場においても、エピゲノムの統括的理解とその人為的制御法の確立が不可欠となってきている。これまで私たちは、植物の対立遺伝子の一方の発現が、メチル化あるいは脱メチル化により制御される現象の存在を世界に先駆けて見出してきた。これらの現象は、「対立遺伝子間の優劣性発現」「雑種強勢」「胚乳発生制御」「種間の生殖障壁」といった育種上の重要課題に直結すると考えられている。 そこで、本研究では、私たちが独自に見出したメチル化・脱メチル化現象の分子機構を明らかにすること、また対立遺伝子特異的なエピゲノム修飾の実態を網羅的に明らかにすること、さらに、得られる知見を応用して新たな植物育種の具体例を提示することを目的とする。
研究項目及び実施体制(()は研究担当者)
- 対立遺伝子間のDNAメチル化制御機構の解明と網羅的エピゲノム解析
(国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科 高山 誠司) - 父・母対立遺伝子のDNA脱メチル化を介した胚乳発生制御機構の解明
(国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科 木下 哲)
期待される成果、効果
エピゲノム情報とその制御機構の理解は、自殖種子稔性を持ったハイブリッドナタネの育種やバイオマス改善ナタネの育種など新たな植物育種に応用可能であり、農林産業に貢献することが期待できる。