研究代表者氏名及び所属
岩倉 洋一郎(国立大学法人東京大学医科学研究所)
研究実施期間
平成20年度~24年度(5年間)
研究の趣旨・概要
食を通じて健康を増進・維持することは超高齢化社会において極めて重要な課題であり、機能性食品に対する期待は非常に大きい。その中で、βグルカン(BG)に代表される多糖成分は、感染症やがん、および近年急増しているアレルギー疾患などに効果があるとされ、古くから免疫賦活能を持つ食品成分として注目されてきた。しかし、特定保健用食品にしてもその免疫機能向上を謳うための承認基準の整備は途上であり、明確な科学的根拠に基づいた客観的な機能評価はなされていないのが現状である。そのような中で、近年、病原微生物の持つ多糖成分の分子構造や生体側の認識受容体を介した自然免疫活性化についての分子機構が徐々に明らかになってきている。食品に含まれる成分と免疫細胞の相互作用という観点から解析することは、食品の機能を検証するために重要なアプローチであると考えられる。本研究では分子生物学的、免疫学的な機能性評価を体系的に行い、これら機能性食品の科学的基盤の確立を目指し、ツールや評価系作成のための素材を提供し、高機能性食品を開発する。
研究項目及び実施体制(()は研究担当者)
- 糖鎖認識受容体シグナルによる自然免疫賦活機構の解析
(国立大学法人東京大学医科学研究所 岩倉洋一郎) - 微生物由来の高機能性分子物性評価法の開発と構造活性相関の検討
(東京薬科大学薬学部 大野尚仁) - 消化管免疫細胞の活性化と機能成熟機構の解明
(独立行政法人産業技術総合研究所 辻典子) - 自然免疫賦活能を持つ高機能性食品の評価法の確立と商品開発
(日生バイオ株式会社北海道研究所)
期待される成果、効果
免疫賦活能を持つ機能性食品を開発することにより、国民の健康増進が図られると共に、新たな予防医学的な科学的根拠に基づいた機能性食品市場を開拓できる可能性がある。