研究代表者氏名及び所属
吉浦 康寿(独立行政法人水産総合研究センター養殖研究所)
研究実施期間
平成20年度~24年度(5年間)
研究の趣旨・概要
遺伝子組換えとは異なる技術であるTILLING法を利用して、養殖魚を育種する新しい水産技術を開発する。農作物では、遺伝子組換えに代る品種改良技術として、TILLING法が注目されているが、産業動物(養殖魚、家禽、家畜)では実用化されていない。我々のグループは、実験魚のメダカでTILLING法をすでに確立し、魚類でも植物と同様にTILLING法が利用できることを証明した。そこで本研究は、重要な養殖対象魚であるトラフグを用いてTILLING法を養殖魚に応用する技術の開発を行うとともに、本法の実用化に不可欠な養殖魚の高品質化に有効な遺伝子を特定するため、メダカを用いて高成長や病原体への強さに関わる遺伝子を探索する。 (*TILLING法: 植物で開発された、突然変異を利用した品種改良技術)
研究項目及び実施体制(()は研究担当者)
- 養殖魚における高頻度突然変異導入技術の確立
(独立行政法人 水産総合研究センター養殖研究所 岡本 裕之、玄 浩一郎/国立大学法人 東京大学大学院農学生命科学研究科 菊池 潔、末武弘章) - 養殖魚の高品質化に有効な遺伝子の探索:可食部位の高品質化に関わる形質
(独立行政法人 水産総合研究センター養殖研究所 吉浦 康寿、乙竹 充、桐生 郁也/同センター東北区水産研究所 黒川 忠英) - 養殖魚の高品質化に有効な遺伝子の探索:耐病性に関わる形質
(国立大学法人 広島大学大学院生物圏科学研究科 冲中 泰) - 遺伝子変異体メダカの作製とその効率化
(国立大学法人 京都大学大学院医学研究科 谷口 善仁)
期待される成果、効果
養殖魚でTILLING法が確立されれば、成長がよく病気に強い養殖魚等の様々な新品種の作出が可能になり、水産業の振興や消費者ニーズへの対応を介して、食の安全や食糧自給率の向上につながる。