生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

イノベーション創出基礎的研究推進事業(終了)

2008年度 採択された研究課題

バイオマス生産基盤としての植物CO2応答機構の解明

研究代表者氏名及び所属

射場 厚
射場 厚(国立大学法人九州大学大学院理学研究院)

研究実施期間

平成20年度~24年度(5年間)

研究の趣旨・概要

大気中のCO2濃度は増加の一途をたどっており、食糧自給や森林保全の観点から、農林産業におよぼすその潜在的影響が強く懸念されている。CO2濃度の上昇は、地球規模の温暖化や局所的な気候変動を促すだけでなく、農林産業の基盤となる植物の成長・生理に多面的な変調をもたらす可能性がある。一般に、炭素栄養の根源であるCO2の増加は、高施肥条件(高度集約農業など)におけるバイオマス生産にプラスに寄与するものと考えられている。一方、自然植生においては、土壌栄養や水分供給量に依存して、植物の健全な成長を妨げる要因となる可能性も指摘されている。したがって、植物が環境のCO2を感知し、代謝や遺伝子発現を介した個体機能の恒常性に反映させる仕組みを理解することは、高CO2時代における農林生産性の維持と持続的向上を目指す上で、重要かつ緊急的な課題である。本研究では、各種リモートセンサを用いたスペクトローム解析等の非破壊的計測技術により、CO2応答にともなう情報伝達と恒常性制御を担う基幹因子を探索するとともに、メタボローム解析を併用することにより、各因子の機能性と農林生産性にかかわる重要形質との相関関係を明らかにする。

研究項目及び実施体制(()は研究担当者)

  • 植物のCO2応答にともなう情報伝達および恒常性制御の分子遺伝学的解析
    (国立大学法人 九州大学 理学研究院 射場 厚)
  • メタボローム解析による高CO2適合型農林作物における新規代謝変動の同定
    (国立大学法人 東京大学 分子細胞生物学研究所 内宮 博文)
  • 高CO2適合型森林育成システムの開発とリスク評価
    (独立行政法人 森林総合研究所 北海道支所 宇都木 玄)

期待される成果、効果

高CO2環境に適合した農林作物の特定・選別を進め、バイオマス高生産品種の産業レベルにおける展開の促進を図る。

バイオマス生産基盤としての植物CO2応答機構の解明