生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

イノベーション創出基礎的研究推進事業(終了)

2008年度 採択された研究課題

葉緑体工学を用いた自己糖化型エネルギー作物の開発

研究代表者氏名及び所属

中平  洋一
中平 洋一(京都府公立大学法人京都府立大学大学院生命環境科学研究科)

研究実施期間

平成20年度~22年度(3年間)

研究の趣旨・概要

植物バイオマスのエネルギー・工業用原料としての活用(バイオリファイナリー)は、地球温暖化防止策として有効であるとともに、持続可能な循環型社会の形成において重要な役割を担うことが期待されている。とりわけ、石油代替燃料としてのバイオエタノールが注目を集めており、世界規模で生産が拡大している。しかし、現行のバイオエタノール製造法は穀物のデンプンを原材料とするため、食糧問題の一因ともなっている。その解決策として、地球上に豊富に存在する植物のセルロース系バイオマスを糖化して利用するための要素技術の開発が急務とされている。これまでに、物理・化学的な処理法や微生物が生産する糖化酵素を用いた方法等が提案されているが、エネルギー変換効率やコストの問題から、実用化には至っていない。

本研究では、耐熱性(高温ではたらく)糖化酵素群を大量発現する葉緑体形質転換植物を作出し、これを粉砕・加熱処理することによって、植物が自動的に分解して糖質を生産する「自己糖化型エネルギー作物」を開発する。さらに、「自己糖化型エネルギー作物」が生産した余剰の糖化酵素を利用することで、未利用バイオマス(農業廃棄物・雑草・廃材等)の糖化処理への応用(他家糖化)についても検討する。

研究項目及び実施体制(()は研究担当者)

  • 耐熱性糖化酵素群を用いたバイオマス糖化法の検討
    (株式会社耐熱性酵素研究所 鹿島 康浩)
  • 耐熱性糖化酵素群を大量発現する葉緑体形質転換タバコの作出
    (京都府公立大学法人京都府立大学大学院生命環境科学研究科 中平 洋一)

期待される成果、効果

「自己糖化型エネルギー作物」を用いたセルロース系バイオマスの糖化システムでは、原材料である植物が光合成によって生長するに伴い、糖化酵素が生産されるため、糖化処理に係るコスト並びに二酸化炭素排出量の大幅削減が見込まれる。

葉緑体工学を用いた自己糖化型エネルギー作物の開発