研究代表者氏名及び所属
大坪 憲弘(独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所)
研究実施期間
平成20年度~22年度(3年間)
研究の趣旨・概要
植物独自の遺伝子ノックダウン技法であるCRES-T法を基盤に、遺伝子発現の適切な制御により目的形質を効率的に付与する技術的な改良を行う一方、環境中への遺伝子拡散を防止する汎用性の高い不稔化技術を確立する。これらの手法をバラ、カーネーション、シクラメンを中心とする商品性の高い花きに適用して多数の新規な遺伝子組換え系統を作出し、形質特性や遺伝的安定性等を評価する。これら花き系統の表現型情報や利用技術情報を広く研究者に提供するほか、ホームページや展示を介した一般向けのわかりやすい情報発信を行う。
研究項目及び実施体制(()は研究担当者)
- 花弁配色パターン制御技術の実用化と汎用不稔化ベクターの開発
(独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構花き研究所 大坪憲弘) - 花きの形質改変に特化した転写因子制御技術の開発と統合データベースシステムの構築
(独立行政法人産業技術総合研究所ゲノムファクトリー研究部門 光田展隆) - 変化朝顔の再現を通した遺伝子組換え技術の教育的・文化的理解の促進
(国立大学法人筑波大学大学院生命環境科学研究科 小野道之) - リンドウを用いた在来種花き組換え体の実用化技術の開発
(財団法人岩手生物工学研究センター細胞工学研究部 西原昌宏) - 花器官形成遺伝子の局所的制御による多弁化・不稔化同時制御技術の実用化
(北興化学工業株式会社開発研究所 寺川輝彦) - CRES-T法のリソースを活用したバラ、カーネーションの新品種開発
(サントリー株式会社R&D推進部植物科学研究所 田中良和)
期待される成果、効果
CRES-T法の改良と汎用性の高い不稔化技術の開発により、新たな花色や花形を持つ商品性の高い組換え花きが多数作出される。開発された技術は、花きに限らず様々な組換え作物への利用が期待され、育種の効率化が図られる。また、利用技術情報等の発信により、組換え研究の技術的な底上げと国民理解が促進される。