研究代表者氏名及び所属
磯野 邦夫(国立大学法人東北大学大学院情報科学研究科)
研究実施期間
平成20年度(フェーズI)
平成21年度~22年度(フェーズII)
研究の趣旨・概要
苦味は動植物、医薬品などに含まれる様々な有機、無機化合物の味で、微量で顕著な摂食の抑制や嘔吐反応を引き起こす。そこで安全で有用な苦味減弱機能をもつ調味物質は食品や医薬品の開発と改良において大きな需要が期待できるが、従来の方法では試作段階から評価段階までの開発に時間がかかる。本研究では最近同定されたヒトの苦味受容体分子を、豊富な組換えDNA技術が利用できるショウジョウバエの化学感覚ニューロンに特異的に発現させたヒト苦味の異所発現系を構築する。これを利用して膨大な種類のアミノ酸配列の組み合わせの中で抗苦味効果をもつペプチドを効率的に探索し、苦味に対する新型調味料として特許、製品化する企業を設立する。
研究項目及び実施体制(()は研究担当者)
- フェーズI
ヒト苦味受容体のショウジョウバエ苦味組換体の構築
フェーズII
苦味組換体を用いたペプチドの苦味抑制効果の評価
(国立大学法人東北大学大学院情報科学研究科 磯野邦夫) - フェーズI
ペプチドライブラリーの作成
フェーズII
抗苦味ペプチドと苦味受容体の相互作用の解析
(株式会社ペプタイド ドア 鈴木政嗣)
期待される成果、効果
抗苦味ペプチドは安全で栄養価に優れた調味料であり、人工甘味料やアミノ酸調味料のような世界規模の需要が喚起できる。また苦味で得られる成果は酸味など他の味覚にも応用でき新しい開発に結びつく。競合製品がないので起業化の大きな機会となる。