研究代表者氏名及び所属
幸 義和(国立大学法人東京大学 医科学研究所)
研究実施期間
平成20年度(フェーズI)
平成21年度~22年度(フェーズII)
研究の趣旨・概要
ブタ大腸菌性下痢症は、新生子ブタに発症すると80%以上の高い死亡率を示す重要な疾病である。その多くは病原性大腸菌感染により同菌が生産する易熱性毒素によって引き起こされる。我々はイネ種子にこの毒素のワクチンを発現させたワクチン米の経口免疫が、毒素ワクチンの注射による免疫よりも下痢予防に有効であることを、マウスを用いた毒素誘発下痢モデルを用いて示した。また、このワクチン米は消化酵素に耐性があり、腸管粘膜から取り込まれて効果的に粘膜免疫を誘導することをマウスで証明した。そこで本課題では、ワクチン米の大腸菌性下痢症予防効果をブタで証明して経口ワクチン米開発コンセプトを構築し、ベンチャー設立に向けた物性、規格、安定性試験等の諸試験を実施する。
研究項目及び実施体制(()は研究担当者)
- フェーズI
ワクチン米の調製と分析
ビジネスプラン作成
フェーズII
ワクチン米の物性、規格、安定性試験等の検討
ワクチン米の事業構築
(国立大学法人東京大学医科学研究所 幸 義和) - フェーズI
ワクチン米のブタ経口免疫誘導効果の確認
ビジネスプラン作成
フェーズII
ワクチン米の下痢抑制効果、投与量等の条件設定
ワクチン米の事業構築
(日生研株式会社 長井伸也)
期待される成果、効果
病原性大腸菌によるブタ下痢症は、現在、注射ワクチンによる血清抗体での防御を基本としている。開発する常温保存可能な米型経口ワクチンは、粘膜免疫を基本とした血清抗体と粘膜抗体の二段構えの防御免疫を誘導できる画期的な下痢症予防ワクチンとなり、ワクチン接種の手間とコストを削減できる。