生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

イノベーション創出基礎的研究推進事業(終了)

2009年度 採択された研究課題

大果果実の作出に向けたバラ科果樹枝変わり大果変異の機構解明

研究代表者氏名及び所属

白武 勝裕
(国立大学法人名古屋大学大学院生命農学研究科)

研究実施期間

平成21年度~25年度

研究の趣旨・概要

本課題は、枝変わり(突然変異)で生じた果実サイズが原品種の2倍以上になるセイヨウナシの大果変異系統を、ゲノム・トランスクリプトーム・プロテオーム・メタボロームの網羅的解析により原品種と比較し、大果DNA マーカーの開発、大果の原因遺伝子候補の単離、大果の鍵遺伝子や重要代謝物の特定を行う。候補遺伝子は遺伝子組換え植物を作出して評価する。これらの解析には、我々が開発した発芽後1年以内に開花する早期開花セイヨウナシを活用し、研究に要する時間を飛躍的に短縮させる。

本課題におけるDNA マーカーの開発により、大果で高糖度なセイヨウナシの育種が可能となる。また、大果(器官特異的な細胞サイズ増大)の原因遺伝子が特定できれば、その応用により、果実のみならず様々な作物において、利用器官特異的なサイズ増大の道が開ける。さらに、本研究が提示する大果や高糖度化に重要な遺伝子や代謝物、バラ科果樹の代謝基盤情報、早期開花系統を用いた果樹の育種年限短縮法、枝変わりの遺伝子解析技術は、バラ科果樹の研究分野へ多くの基盤情報を提供するとともに、ポストゲノム時代における新しい果樹育種のリーディングモデルとなり得る。