研究代表者氏名及び所属
中村 崇裕(国立大学法人九州大学農学研究院)
研究実施期間
平成21年度~23年度(3年間)
研究の趣旨・概要
植物ミトコンドリアはエネルギー生産、代謝、ストレス緩和、細胞質雄性不稔性などの様々な植物の高次生命現象や農林業の重要な形質を支えている。一方で、植物のミトコンドリアゲノムに含まれる遺伝子の発現機構はほとんど明らかにされていない。最近、ミトコンドリア遺伝子の発現とそれを制御する核遺伝子産物の分子実体が断片的に明らかになってきた。この理解をさらに深めるとともに、得られた知見を迅速に農林業へ適用することが肝要である。本研究では、ミトコンドリア遺伝子発現の既知制御因子であるPPR蛋白質を改変・利用することで、ミトコンドリア遺伝子発現の人為的な調節技術の創出を目指し、モデルとして細胞質雄性不稔イネへの稔性回復形質の付加を行う(ツールの開発)。また、ミトコンドリア遺伝子発現の鍵段階である翻訳機構を解析し、未知の制御配列および因子を同定する(シーズの獲得)。
研究項目及び実施体制(()は研究分担者)
- PPR蛋白質を用いたミトコンドリア遺伝子発現改変技術の開発
(九州大学 中村 崇裕) - 植物ミトコンドリア翻訳システムの解明
(東北大学 風間 智彦)
期待される成果、効果
新しいツールとシーズを提供することで、様々な植物種、品種でのF1育種技術の利用、エネルギーフロー調節によるストレス耐性などの機能付加などの新品種育成技術を確立すると共に、ミトコンドリア機能解明と利用のための農業バイオ新領域を拓く礎を築く。