研究代表者氏名及び所属
松本 光晴(協同乳業株式会社)
研究実施期間
平成21年度~23年度(3年間)
研究の趣旨・概要
老年病の原因である慢性炎症を軽減し健康寿命を伸ばす有効な一手段として、ポリアミンを大腸内で効率的に産生し生体に継続的に供給することが考えられる。そのため、腸内菌叢を次世代型シークエンサーとTerminal-RFLP法で解析し、その代謝産物をメタボローム法で網羅的に解析して腸内ポリアミン濃度に影響を与えるファクターを見出すと共に、モデル生物大腸菌を用いてポリアミン吸収・放出など代謝経路を解明し、in situ試験などで腸内ポリアミン濃度の制御を可能にする技術を開発する。これらで見出したポリアミン濃度制御物質と、腸内菌叢の改善効果が高いビフィズス菌LKM512を用いて大規模なマウス投与実験を実施し、様々なマーカーを利用して健康寿命に与える影響を評価し、健康寿命伸長が期待できる食品を創製する。
研究項目及び実施体制(()は研究分担者)
- 腸内ポリアミン濃度コントロール食品の開発と高齢マウスを用いた評価
(協同乳業株式会社 松本光晴) - 腸内菌叢とポリアミンの関連性の研究
(独立行政法人理化学研究所 辨野義己) - 大腸菌をモデル生物としたポリアミン輸送及び代謝調節機構の解明と制御
(国立大学法人京都工芸繊維大学 鈴木秀之)
期待される成果、効果
科学的根拠のある健康寿命伸長食品の完成は、新規高付加価値食品の誕生を意味し、飲食品産業の活性化を導く。また、労働人口の増加を導き、第1次産業に従事する高齢者の現役期間を伸ばし、後継者の育成期間を創出する。さらに、世界に先駆けた「機能性食品」であり、国際イニシアチブの確保、世界市場への進出が期待できる。