研究代表者氏名及び所属
松浦 健二 (国立大学法人岡山大学)
研究実施期間
平成21年度~23年度(3年間)
研究の趣旨・概要
シロアリは被害の甚大さと予防、駆除の困難さの点から見て、人類にとって最も厄介な害虫の一つである。シロアリの働き蟻は女王の産んだ卵を認識し、それを育室に運搬して毎日舐めて世話する。このような高度な社会生活の習性を利用して、擬似卵に含ませた殺虫剤をシロアリ自ら巣の中枢に運搬させて巣全体を壊滅させれば、最も効果的にシロアリを駆除できる。本研究は、擬似卵の基材開発、殺虫成分の選択と製剤技術開発、野外での導入技術の開発を行い、高い運搬活性と殺虫活性をもつ擬似卵型駆除剤の製品化を目指す。消費者の視点から表現すると、「もしシロアリに住宅が加害された場合、この製品を家の周りの地面に設置さえすれば、確実に巣全体を壊滅できる」という製品を開発する。
研究項目及び実施体制(()は研究分担者)
- シロアリの卵認識および卵運搬メカニズムの解析
(国立大学法人岡山大学 松浦 健二) - 擬似卵型駆除剤の基材開発
(森下仁丹株式会社 釜口良誠) - 殺虫成分のスクリーニングおよび擬似卵型駆除剤の製剤
(住化エンビロサイエンス株式会社 野口裕志) - 家庭用および業務用シロアリ駆除剤としての商品化開発
(アース製薬株式会社 山口正永)
期待される成果、効果
本技術はシロアリの卵運搬・保護という強力な本能行動を利用するため、きわめて効果的にコロニーの中枢を破壊できる。これまで専門業者にしかできなかったシロアリの駆除を、一般の消費者でも容易・安全に安心してできるようになる。