研究代表者氏名及び所属
寺内 良平(財団法人岩手生物工学研究センター)
研究実施期間
平成21年度~23年度(3年間)
研究の趣旨・概要
東北日本の水稲栽培において重要な形質である耐病性、耐冷性、耐倒伏性、直播適性等の育種改良を目的に、蓄積した遺伝資源系統等を用いた大規模連関解析をイネで初めて適用することにより、それら形質発現に関わる遺伝子群を迅速に解析し特定する。即ち、既存の約8,500系統の水稲品種「ひとめぼれ」突然変異系統群と、「ひとめぼれ」を共通親として外国稲、野生稲を交配して作出中の組換え近交系(RILs)を材料として、次世代シーケンサーによる全ゲノム解析と大規模SNP解析により、形質とSNPsの間で連関解析を行い、目的の遺伝子を含む領域を特定する。また、基本手法となるイネの大規模連関解析に適したアルゴリズムを開発し、適用するとともに、特定された遺伝子領域は優良品種への戻し交配とDNAマーカー選抜を繰り返し行い、画期的な特性をもつ多様な水稲中間母本を育成して、品種育成に結びつける。
研究項目及び実施体制(()は研究担当者)
- 次世代シーケンサーを用いた連関解析によるイネ重要遺伝子領域の特定
(財団法人岩手生物工学研究センター 寺内良平) - 大規模突然変異集団およびRILsの連関解析アルゴリズム開発および実証
(国立大学法人総合研究大学院大学 印南秀樹) - 系統群の形質評価および多様なイネ中間母本の迅速なマーカー育種
(岩手県農業研究センター 阿部 陽)
期待される成果、効果
東北日本の水稲栽培にとって重要な耐病性、耐冷性等の形質改良に寄与する多数の遺伝子群が特定され、低コストで栽培可能な優れた中間母本が育成される。また、「ひとめぼれ」1万系統M4世代の種子およびDNAバンク、並びに大規模RILs系統群が確立されるとともに、連関解析技術は、広く農林水産物の重要遺伝子領域の特定と育種に利用可能であり、波及効果が高い。