研究代表者氏名及び所属
松本 和也(学校法人近畿大学)
研究実施期間
平成21年度~23年度(3年間)
研究の趣旨・概要
我々は、日本で初めて構築した黒毛和種肥育牛の血統・枝肉形質情報と白色脂肪組織プロテオーム解析情報を統合した情報管理システムを利用して、黒毛和種肥育牛の優良枝肉形質毎に高い相関を持つバイオマーカー候補タンパク質を同定した。本研究では、この研究・技術シーズを発展させ、黒毛和種牛の肥育過程においてバイオマーカー候補タンパク質の実践的評価を実施し、肥育過程で肥育後の枝肉形質を予測する肥育バイオマーカーを開発する。同時に、黒毛和種を用いた品種間交雑家系における連鎖地図情報などの牛染色体遺伝子情報とバイオマーカー候補タンパク質情報との統合解析により決定した標的遺伝子上の一塩基多型(SNPs)情報から、優良枝肉形質を判定するSNPマーカーを開発する。この高品質和牛生産管理システムの開発により、経験に基づく従来の肥育管理方法から科学的根拠に基づく新たな肥育管理方法への転換システムの基盤が構築される。
研究項目及び実施体制(()は研究分担者)
- 黒毛和種の優良経済形質バイオマーカータンパク質の機能解明とモニタリング評価システムの開発
(学校法人近畿大学 松本和也) - 黒毛和種の優良経済形質バイオマーカータンパク質の分子ネットワークの解明
(国立大学法人和歌山大学 中川 優) - 黒毛和種の優良経済形質バイオマーカータンパク質の遺伝子情報に基づくSNPマーカーの確立
(独立行政法人家畜改良センター 小林栄治) - 黒毛和種の優良経済形質バイオマーカータンパク質の肥育試験における実証評価
(岐阜県畜産研究所 小林直彦)
期待される成果、効果
開発される高品質和牛生産システムを基盤にSNPマーカー検出キットや肥育バイオマーカーモニタリングキットが開発されれば、科学的根拠に基づく黒毛和種牛の肥育管理方法への転換が図られる。その結果、繁殖肥育農家経営の安定化、肉用牛生産業の活性化、そして消費者への高品質牛肉の安定供給への貢献が期待される。