研究代表者氏名及び所属
多賀谷 英幸(国立大学法人山形大学)
研究実施期間
平成21年度(フェーズI)
平成22年度~23年度(フェーズII)
研究の趣旨・概要
バイオディーゼル燃料は、原料油脂の種類や利用環境の違いにより燃料の流動性に問題を生ずることがあるため、利用しうる原料や利用法に制限がある。本研究開発では、飽和系を含む各種油脂から製造されるバイオディーゼル燃料に対して広く流動点降下作用を有する添加剤を開発し、その効果を高度なものとする添加剤の利用法や燃料の精製における工夫について検討することで、バイオディーゼル燃料の利用拡大に寄与するものである。 本研究開発では、2つ以上の分子量ピークを有するポリアルキルアクリレート重合物が、バイオディーゼル燃料の擬結晶組織に作用して結晶化を阻害することで流動点を降下させるというモデルに基づき、最適な重合数分布やアルキル基の種類、燃料の性状や用途に対する対応などを検討し、飽和系油脂など様々な原料から製造され、様々な用途・用法に用いられるバイオディーゼル燃料に対して最適な添加剤の開発を行う。
研究項目及び実施体制(()は研究分担者)
- フェーズI
ポリアクリルアクリレート重合物の合成と機能特性の把握
製品設計とビジネスプラン等の検討
フェーズII
製品設計に基づく各種ポリアクリレート重合物の合成と最適化
流動点降下剤等の事業化検討
(国立大学法人山形大学大学院理工学研究科 多賀谷英幸) - フェーズI
動植物油脂からのBDF製造と特性把握
フェーズII
添加剤混合マトリックスBDFの製作
(BIO ENERGIES JAPAN株式会社 中薗 豊) - フェーズII
流動点降下現象の分析と評価
(国立大学法人東北大学流体科学研究所 中野政身)
期待される成果、効果
本研究で開発する流動点降下剤により、従来バイオディーゼル燃料の原料として利用できなかった飽和系油脂の利用が可能となり、寒冷地や低温時でも燃料の流動性を確保でき、対象原料や利用法の幅を大幅に拡大できる。研究開発後は、開発した流動点降下剤と添加剤を用いた高品位燃料の製造・販売事業を立ち上げていく。