研究代表者氏名及び所属
矢部 宇一郎(株式会社グライエンス)
研究実施期間
平成21年度(フェーズI)
平成22年度~23年度(フェーズII)
研究の趣旨・概要
レクチンは、植物、動物を問わず多くの生物種に存在する糖結合タンパク質の総称である。これを利用した我々のレクチン固相マイクロアレイシステムでは、形態検査あるいはDNAチップによる遺伝子解析でも区別が困難な数種培養細胞を半日程度で判別でき、特異性の高いレクチンを用いたプロファイルシステムは迅速検出に優れているなど、レクチンの有用性は高い。細菌を含む細胞の表面は糖鎖で覆われているが、これら糖鎖の迅速分析に特異性の高いレクチンを用いる事が出来れば、従来の手法と比べてより簡便に食中毒菌を検出・同定する事ができる。本研究では、糖鎖結合特異性の高い海藻レクチンを含む多種レクチンライブラリーを構築し、食中毒菌に結合するレクチンを検索して表面糖鎖解析が菌の同定に有効である事を明らかにし、食中毒菌用迅速多重検出技術を開発する。
研究項目及び実施体制(()は研究分担者)
- フェーズI
組換えレクチンの予備的作製およびスクリーニングの予備的検討
並びにビジネスプランの作成
フェーズII
食中毒菌を判別出来るレクチンの選別、特異性の解析
(株式会社グライエンス 矢部宇一郎) - フェーズI
農林水産物からのレクチン予備探索
フェーズII
レクチン含有農林水産物の安定生産システムの開発
(国立大学法人広島大学 堀 貫治)
期待される成果、効果
株式会社グライエンスはこれまで糖鎖販売、糖鎖解析受託の事業を行って来たが、レクチン知財を生かして会社を新生し、食中毒菌結合レクチンの検索・プロファイルシステムの構築により食中毒菌迅速多重検出技術を開発して新事業を展開し、食品衛生分野へ事業を拡大する。また、レクチン含有農林水産物の安定生産に基づく高付加価値化による「機能性食品」開発への波及効果が期待される。