研究代表者氏名及び所属
澁谷 直人
(明治大学農学部)
研究実施期間
平成22年度~24年度(3年間)
研究の趣旨・概要
植物は多くの微生物に共通して存在する分子である微生物分子パターン(Microbe-Associated Molecular Pattern:MAMPs)を認識することによって、侵入しようとする微生物を検出し排除するシステムをもっている。このMAMPs認識に基づく生体防御系は、植物が多くの潜在的病原菌による感染・病害から身を守る上で中心的な役割を果たしていることが知られている。本研究では、このMAMPs認識系とその下流のシグナル伝達系の強化・改変により、さまざまな病原菌に対して抵抗性を付与する新しい技術の開発を目指す。このため、植物病原体の7割を占める真菌類に着目し、それらの代表的MAMPsであるキチン、βグルカン認識系の強化・鋭敏化、シグナル伝達系下流の鍵転写因子の強化・改変により、基礎的抵抗性を格段に強化することを目指す。また、受容体下流のシグナル伝達系の切り替えにより、細胞死を伴う、より強い抵抗性を付与する技術についても開発を進める。これらの研究を通じて、従来の育種技術では達成困難な、複数病害抵抗性、抵抗性の崩壊が起こりにくい、といった利点をもつ病害抵抗性イネの開発を目指す。