生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2001年度 事後評価結果

分子擬態を利用した生物系素材の基礎研究

(東京大学医科学研究所 中村義一)    

評価結果概要

全体評価

本プロジェクトはタンパク質がtRNAの形や働きを擬態する現象の基盤原理を解明しようとしたものである。ペプチド鎖解離因子中にtRNAのアンチコドンに相当するアミノ酸残基からなる領域「トリペプチドアンチコドン」を発見したことは、tRNAアンチコドントリプレットに匹敵するアミノ酸-ヌクレオチド対応が存在することを示したものであり、本プロジェクトの分子擬態の根幹をなしている。これは、遺伝暗号が発見されてから40年余、これまで未解明であった終止コドン解読の仕組みを明らかにしたもので、遺伝暗号解読の完全解をもたらしたものである。プリオン研究については、広範な酵母種からプリオン特性をもつ解離因子ホモログを分離し、プリオン伝搬機構を解析した。これらの成果は世界に誇るべき独創的かつ斬新なものであり、極めて高く評価される。