生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2003年度 事後評価結果

植物の生物時計機構の解明と光周性の人為的制御

(名古屋大学大学院理学研究科 石浦 正寛)

評価結果概要

緑色植物の生物時計機構を分子レベルで解明し、その成果を応用して光周性の人為的制御を達成して、大豆、イネなどの有用高等植物の生産性や経済性の向上を図る重要性は明らかであり、今後も多くの研究者により様々な研究が展開されるものと思われる。
本研究グループは、藍色細菌においては本プロジェクト開始以前からの知見と経験の蓄積があったために、藍色細菌の生物時計の分子機構の解明は、文字通り分子レベルの研究として多くの成果をあげ、今後とも時計システムのモデルとして、重要な位置を占めていくであろう。高等植物の時計遺伝子については、この研究の延長上に成果が期待されたが、高等植物を材料とする実験にとりかかる時期が遅きに失し、経験も十分ではなかったために、期待した成果をあげることが出来なかったのは、残念である。チームに高等植物を有する人材を早期に加える必要があったのではないか。また、有用作物であるイネでの生物時計と光周性の人為的操作の実現を最終目的1つとするならば、モデル植物のシロイヌナズナだけではなく、イネを用いての研究の方が、研究・産業への波及効果はより大きいものと考えられるので、今後はその面での一層の進展を期待したい。