生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2006年度 事後評価結果

健康長寿社会に向けた食品開発のための食品物性・感性科学的研究

((独)農研機構食品総合研究所 神山 かおる)

総合評価結果

当初計画どおり推進

評価結果概要

本研究は当初、基礎的な研究の3研究項目と応用的で開発型の1研究項目を設定して開始された。本研究を意義あるものとする上で当初設定された課題構成は適切でありその達成が求められたが、中間評価後に応用開発型の研究項目が消滅してしまったのが残念である。個々の研究については、着実な進捗状況で、その成果についても高い水準と判断される。本研究は咀嚼機能を中心に展開したものであるが、得られた研究成果からは摂食機能について解析することができる新たな研究手段への展開の可能性も示唆されているので、今後の発展が期待される。
しかし、この研究の目標は健康な高齢者を対象とした食品開発であり研究対象者も健康な高齢者としたが、若年者と比較して健康な高齢者の咀嚼機能に有意差が見られていないことから明らかなように、健康な高齢者を対象とした食品開発よりも、摂食機能が低下した高齢者を対象とした食品開発の方が社会的ニーズが高い。「健康長寿社会に向けた食品開発のための食品物性・感性科学的研究」がテーマとされたので、対象を健康な高齢者のみに限定せずに、範囲を広げる必要はあった。さらに、企業のニーズや高齢者のニーズに合わせて研究課題の具体的なテーマを設定すれば、もっと良い研究になったと思われる。