生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

1998年度 中間評価結果

イネQTLに関する遺伝子ネットワークのゲノム生物学的解明

(農林水産省農業生物資源研究所 佐々木卓治)     

評価結果概要

全体評価

QTL解析のための実験系統群を作出するとともに、13種類の 出穂期関連QTLの内6種が感光性に関する遺伝子座であることを明らかにし、感光性に関わる候補遺伝子を単離するなど、研究は順調に進捗している。今後の研究の更なる進展が期待されるとともに、後続のQTL解析のために実験マニュアルの作成が望まれる。

中課題別評価

(1)実験系統群の作出および環境適応性形質の評価
(九州大学農学部 吉村 淳)

組み換え自殖系統群や染色体断片置換系統群の作出を進めるとともに、これらの実験系統群を利用して、出穂期、種子休眠性などの形質評価、QTL解析を行うなど、研究は順調に進捗している。栽培種と野生種間の染色体置換系統群の作出は達成可能とみられる。

(2)環境適応性形質の遺伝解析
(農林水産省農業生物資源研究所 佐々木卓治)    

日本晴とKasalathの交雑後代から13種類の出穂期関連QTLを検出し、この内6種が感光性に関わる遺伝子座であることを明らかにした。今後は、全ての環境適応性形質を一律に対象とするのではなく、出穂期に関与するQTLに重点を置いて研究を進めることが適当である。

(3)環境適応性形質関連遺伝子の単離およびその発現機構の解析
((社)農林水産先端技術産業振興センター農林水産先端技術研究所 門奈 理佐)

感光性に関わる3種の遺伝子を単離しており、研究は順調に進展している。遺伝子解析はシロイヌナズナで進んでいるので、これらの外部情報を的確に把握して今後の研究に利用することが必要である。