生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2001年度 中間評価結果

環境化学物質応答の分子機構の解明

(筑波大学基礎医学系 高橋 智)

評価結果概要

本研究の目的は、環境化学物質に対する生物の応答を解明することである。本研究は、研究業績のレベルと量、独創性からみて国際的にも高い評価が与えられる。転写因子AhR、Nrf2遺伝子欠損マウス、転写制御因子AhRR、Keap1遺伝子欠損マウス、ならびにAhR過剰発現マウスの作製、異物応答反応におけるそれぞれの転写因子の役割と生理的機能の解明、環境汚染物質の暴露実験など、研究は着実に進展している。研究成果のレベルは大変高く、制御因子の解明は周辺領域に与えるインパクトは大きい。今後、解毒反応における親電子物質に対するセンサー分子の同定と機構解明、Nrf2とKeap1との相互作用、これらと相互作用するタンパク分子の同定と役割の解明、転写因子間のコミュニケーション解析が期待される。また、環境モニタリング動物の開発と動物を用いた環境モニタリングへの応用研究よりは、第一相と第二相の分子機構の解明という基礎的な面に力点を置いた研究を進めるべきである。