生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2002年度 中間評価結果

ニワトリモノクローナル抗体の作成技術・実用化技術の開発に関する研究

(広島大学大学院生物圏科学研究科 松田 治男)

評価結果の概要

全体評価

本研究は、哺乳動物では産生しにくい抗哺乳動物蛋白抗体の作 成が可能なニワトリを用いて、従来のマウスで作成したモノクロ ーナル抗体より優れた「ニワトリモノクローナル抗体」の作成のための基本技術の確立と実用化のための応用技術の開発を目指して実施している。
これまでの研究の結果、研究の進捗状況は、研究項目によりバラツキがみられるものの、全体的には概ね順調に進展しているといえる。また、研究成果については、細胞融合法によるニワトリモノクローナル抗体の作成に使用する新しい細胞融合候補株の作出、ファージディスプレイ法の手法を利用した高感度のニワトリ 抗体の開発、ニワトリ/ニワトリ二抗体法による高感度検出系の開発、将来BSEなどのプリオン病での検査試薬として利用が期待できる高感度の抗プリオンタンパク抗体の作出など、幾つかの貴重な成果を挙げており、それらについては評価される。
しかしながら、これまで得られた基礎的・応用的成果について、 最終的に実用化に結びつけるまでには、まだ解決すべき幾つかの課題が残されている。また、研究全体として手を広げ過ぎて、散漫になっている傾向もみられる。
このようなことから、後半の研究の取り組みに当たっては、「細胞融合によるニワトリモクローナル抗体の作成技術の開発」等の 本研究課題の主要な研究項目の目標達成に重点を置きつつ、さらに、実用化技術として展開を図るものと実験室レベルに留めるものとの仕分けを検討しつつ、全体として、研究内容の整理や方向 性を絞ることが必要である。また、ニワトリ抗体の優位性を生かした抗プリオンタンパク抗体の研究については、その重要性から、今後さらに国内外の研究者との共同研究等により、一層の展開を期待したい。