生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2003年度 中間評価結果

細菌「超チャネル」の構造生物学的解析と環境浄化型「スーパー細菌」の創成

評価結果概要

研究代表者らが発見したSphingomonas 属細菌A1株の体腔「超チャネル」に関して、分子生物学的・構造生物学的に徹底的な幅広い解析研究を展開し、A1株における高分子物質の輸送・資化の全体像を確定した。すなわち、A1株に存在する分子装置「超チャネル」の構成成分のX線結晶構造解析、A1株の全ゲノム塩基配列決定、ゲノム解析、及びプロテオミクス解析を含む一連の研究は、概ね当初の計画どおり、一部は計画以上に順調に推移している。また、酵母S.cerevisiaeの"自然"形質転換におけるDNA取り込み機構を明らかにするため、遺伝子破壊株の形質転換能を網羅的に調べ、DNA輸送に関する酵母「超チャネル」現象を発見した。これらの研究成果は、インパクトファクターの高い国際学術雑誌に多数掲載され、また投稿準備も順調であり、研究の進捗、研究成果の発表状況も申し分がない。一方、本研究の目標の1つである環境浄化型「スーパー細菌」の創成に関しては、その可能性を示唆する結果が得られてはいるものの、取り組みは現在模索中であるように感じられ、今後の取り組みの重点化とその成功が期待されている。総合的に判断して、研究推進上の問題点はなく、全研究計画は達成されるものと考えられる。