生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2003年度 中間評価結果

ザゼンソウを模倣した温度制御アルゴリズムの開発とその生物系発熱制御デバイスへの応用

(岩手大学農学部附属寒冷バイオシステム研究センター 伊藤菊一)

評価結果概要

発熱植物ザゼンソウの温度制御アルゴリズムを論理的に抽出するとともに、その制御システムに関わる熱産生因子、温度センサーを検索、解析し、これらを基に新しい生物系発熱制御デバイスをデザインし、構築することを目指した本研究は、対象とする植物材料に大きな制約がある中で、独創的であり、かつレベルの高い成果を挙げている。
特に本研究は、植物の示す現象を記載し,その分子機構を模倣する数理モデルを構築し,逆にモデルが教える重要な因子を突き止めようとするアプローチで進められており、これまでに大多数の生物学者がとってきたアプローチとは異なるインパクトのある方法論の基に、優れた成果を出していることが評価される
今後、発熱現象に関しては、発熱時の呼吸基質が何か,呼吸系のフラックスがどのようなメカニズムで調節されているのか,などの基本的な問題の解決が必要である。そのためには、おそらく,このグループの得意とする分子生物学的な研究に加えて,生理学的な枠組みの確認も必要となるであろう。また、温度制御アルゴリズムの抽出に関しては、実験的カオス解析における諸手法の導入などにも留意してより積極的に推進されることを期待する。