生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2004年度 中間評価結果

タンパク質分解制御因子による細胞伸長及び開花時期決定の分子制御メカニズムの解明とその応用

(香川大学総合生命科学実験センター遺伝子実験部門 清末 知宏)

評価結果概要

研究代表者が発見した多機能性タンパク質分解制御因子(LKP)は、現在、世界的に見て最もホットな研究テーマである、植物における概日時計や花芽形成、ユビキチン化を介したタンパク質分解などに関わっている因子である。本研究では、これまでに、LKPの機能部位、LKPの特徴およびLKPと相互作用する遺伝子群を明らかしており、科学的に価値の高い成果を挙げている。特に、LKPがSCF複合体を形成し、ユビキチン化に関与することを示唆するASKとの結合性、あるいは、ターゲットと推定される遺伝子群との結合性が、スクリーニング過程での非生理的なものではなく、生理的に意味があることを、それらの細胞内での発現部位などから明らかにしたことは評価される。
しかし、相互作用因子が余りに多く、個々の解析に多大の精力をそがれ、全体としての研究の方向性が希薄になっている面が見られる。 「多機能性タンパク質分解制御因子・制御関連因子による制御のネットワークの解析」を最終目的として、当初目的に従って研究を進めるのが良いと考えるが、残された年限を考慮して、単純に相互作用のネットワーク図を作るより、目的を絞り込んだ研究を望みたい。
さらに、研究成果の論文発表については一層の努力を傾注されたい。