生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2006年度 中間評価結果

自然な睡眠覚醒調節作用を持つ天然素材の探索に関する研究

(財団法人 大阪バイオサイエンス研究所 裏出 良博)

評価結果概要

本研究は自然な睡眠覚醒調節作用を有する天然素材の探索を目指したものである。
まず、そのための素材の有効性の評価法について、従来の欠点を補うための工夫を行ない動物実験においては短時間で判定し得る方法を開発し、また、ヒトにおいても動物実験と連携し得る方法を考案するなど順調な成果をあげた。
さらに、この方法を用いて、天然に広く存在する多くの素材についてスクリーニングを行ない、民間伝承の食材や企業が興味を示し提供した成分等効能の期待される食品素材の確認を行なっている。特に、発酵乳中の成分、アミノ酸など自然な食品成分中に活性成分を見出したことは、オリジナリティに富み、高く評価できる。また、その作用機構も従来のものと異なっており、実用化を考えた場合に最大の課題となる安全性の確保の視点からも注目されるとともに睡眠機構の解明にもよいモデルとなる可能性がある。
今後さらに、このような日常的に摂取する食品成分中に新たに活性成分が見出され、それらについて多角的な研究が行なわれれば、わが国独自の研究として国際的に高い評価を受けることとなろう。
今後の展望については、スクリーニングの素材を原則として食品に集中し、その新しい作用機構の解析に時間をかけて取り組めばよいと思われるが、その場合でも、研究全体の整合性と各小課題間の連携を保つ上からは、ユニークな作用を持つことが明らかになった素材を中心にして新しい作用機構の解明に力を注ぐべきである。そのことにより本研究の成果はより充実したものになると考える。