研究項目及び実施体制(◎印は総括研究代表者)
- 生体機能電極を用いた金属タンパク質など生体分子の認識と機能解析・新規機能分子の創製に関する研究
(◎谷□功/熊本大学工学部) - 生物電気化学法による光合成類似反応系の構築に関する研究
(西山勝彦/熊本大学工学部) - 食品管理・非破壊品質評価のためのセンサ電極(情報変換素子)開発とその応用に関する研究
(谷口功/熊本大学工学部)
研究の目的
機能電極界面を用いた電気化学的な手法で生体系や自然界の機能を解明することで、食品産業及び生物系産業のための基盤技術の開発が可能になってきた。そこで本研究では、電子を言葉として生体分子と対話(電気化学的に応答)できるインターフェース(機能電極界面)を開発し、生体内や自然界で金属タンパク質が電子移動を通して発揮している触媒、物質運搬・貯蔵、情報伝達などの機能を解明するとともに、それを応用して、新しい食品科学の展開の基礎となる生物電気化学的分子変換、センサー素子の開発などを目的とした。
研究の内容
機能電極界面を用いた電気化学的な手法を用いて、金属タンパク質と自在に対話(情報変換)できる機能電極の開発、人工金属タンパク質機能電極の作製、機能電極を用いた金属タンパク質の生物化学的な機能発現のメカニズムの解明、生物電気化学的手法による人工光合成類似反応系の構築、さらに、食品科学のためのセンサー素子、特に窒素酸化物のためのセンサ素子の開発について研究を進めた。
主要な成果
- 電極表面に分子を一分子層程度を並べて(ナノテクノロジー)表面を高性能化した機能電極界面を用いて種々の金属タンパク質の電子移動制御が可能となった。この種の電極を用いて、フェレドキシンやミオグロビン等の金属タンパク質のアミノ酸残基の機能解析や新規な人工再構成改変金属タンパク質分子の機能解析が可能となった。さらに、ポリペプチド修飾電極を用いた人エタンパク質機能界面の作製の基礎を確立した。
- 食品素材の合成の基礎として、フェレドキシンを用いた生物電気化学的人工光合成類似の立体選択的なアミノ酸合成法を確立し、新しいフェレドキシン・酵素(FNR,SiR)固定化機能電極の開発に成功した。
- 各種センサ電極として、金属電極および金属タンパク質、ヘミン及び関連金属錯体化合物修飾電極を用いた電気化学的窒素酸化物(NOセンサなど)を開発し、食品の品質評価への利用法を示した。
主な発表諭文
- I. Taniguchi, et al. : Simple methods for preparation of a well-defined 4-pyridinethiol modified surface on Au ( 111 ) electrodes for cytochrome c electrochemistry: Electrochim. Acta, 45: 2843- 2854 (2000)
- T. Akashi, et al. : Comparison of the Electrostatic Binding Sites on theSurface of Ferredoxin for Two Ferredoxin-dependent Enzymes, Ferredoxin-NADP+ Reductase and Sulfate Reductase: J. Biol. Chem., 274: 29399-29405 (1999)
- I. Taniguchi, et al. : Electroanalytical chemistry of myoglobin with modification of distal histidine by cyanated imidazole: J. Electroanal. Chem., 468: 9-18 (1999)
- T. Sawaguchi, et. al. : Direct Observation of 4 -Mercaptopyridine and Bis (4-pyridy1) disulfide Monolayers on Au (111) in Perchloric Acid Solution Using In situ ScanningTunneling Microscopy: Langmuir, 14: 3565-3569 (1998)
- I. Taniguchi: Functional Electrodes for Probing Metalloproteins and Bioelectrochemical Systems: Interface, 6: 34-37 (1997)
研究のイメージ
